【J2「好調」】仙台、MF相良の「ゾーン」からのファインミドルで勝利も残った課題 求められるダメ押し点(1)

得意ゾーンからのミドルシュートを決めたベガルタ仙台MF相良竜之介  撮影/中地拓也

■仙台はシーズン初の3連勝を目ざして

勝ってなお、課題が残った。

J2リーグ第15節が5月11、12日に行なわれ、11日、6位のベガルタ仙台は最下位のザスパ群馬とホームで対戦した。

5連敗中の群馬は、8日に大槻毅監督との契約を解除した。武藤覚ヘッドコーチが監督に昇格し、チームの立て直しをはかっている。監督が変わったばかりの相手は、出かたが読みにくい。順位は離れていても、仙台にとって簡単ではない一戦である。そのなかで大切なのは、自分たちがやるべきことを表現できるか。

果たして、仙台は素晴らしい入りをした。開始8分、MF長澤和輝の右CKにCB菅田真啓が飛び込む。ゾーンディフェンスの間でヘディングシュートを浴びせると、GKが弾いたボールをMF松井蓮之がプッシュした。川崎フロンターレから期限付き移籍の背番号6は、出場10試合目で加入後初ゴールだ。

仙台はここから主導権を握る。守備時は5-3-2になる相手の「3」の脇で、サイドバックやボランチがフリーになる。群馬が縦ズレや横ズレで対応すると、2列目のサイドの選手がスペースと時間を得たり、中央で構えるFW中島元彦やMF郷家友太へ縦パスを刺し込んだりできる。さらには2列目右サイドのMFオナイウ情滋が、持ち前のスピードを生かして縦への突破をはかっていく。

29分には追加点を奪う。相手のボール処理のミスからMF相良竜之介がパスを受けると、左サイドからカットインして右足を振り抜く。「相良ゾーン」とも言うべき位置から、ゴール右スミへミドルシュート、ファインゴールが突き刺さった。相良は5試合ぶりのシーズン5ゴール目だ。

前半のうちに2得点するのは、10節のモンテディオ山形戦以来2度目となる。システムのミスマッチを突きながら個のクオリティも見せていった仙台は、守備でもスキを見せることなく前半を終えた。

■前節に続いて後半の試合運びに課題が

後半開始とともに、仙台の森山佳郎監督が動く。オナイウを下げて、DF真瀬拓海を送り出す。オナイウが前半のうちに警告を受けていたことで、指揮官は退場になるリスクを回避したのだった。そのまま2列目の右サイドに入った真瀬が、コンディションをあげているのも交代の理由となったのだろう。

もっとも、チームは緩やかにペースダウンしていく。リードしている仙台が無理に攻める必要はないものの、前へ出てくる相手の背後を突けば攻撃の勢いを削ぐことができる。それだけでなく決め切ることができれば、試合そのものを決めることができる。

62分、群馬のFW佐藤亮に鮮やかな直接FKを決められ(記録は跳ね返りを押し込んだ高橋勇利也のゴール)、仙台は1点差に迫られる。この失点はしかたがないとしても、後半は前への推進力を失ってしまった。シュートは前半の8本に対して、わずかに2本である。2対1のまま逃げ切って今シーズン初の3連勝としたが、GK林彰洋の好守で1点を守り切った前節と、同じような試合展開になってしまった。

試合後のフラッシュインタビューに応じた森山監督も、「前節に続いてリードしたあとの戦いというのが、まだまだ大人になりきれていないというか。課題ですね」と、後半の戦いぶりを指摘した。

今節の結果を受けて、仙台は6位から3位へ順位をあげた。10節の山形戦以降は、6試合中4試合で複数得点を記録している。開幕直後に比べて攻撃力は高まっており、3点目をとって試合を決める展開も見せていきたいところだ。

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