吉田羊が主人公・ハムレット役!「男性を意識した役作りは、低く発声することぐらい」女性だからこその演出も

先日、舞台「PARCO PRODUCE『ハムレットQ1』」の初日前会見とプレスコールが行われ、主演の吉田羊さん、飯豊まりえさん、牧島輝さん、大鶴佐助さん、広岡由里子さん、吉田栄作さんらが登壇しました。

【写真7枚】ハムレットを演じる吉田羊、恋人・オフィーリア役の飯豊まりえら 舞台写真

シェイクスピアの四大悲劇の1つである本作。『ハムレット』には3種類の原本があり、Q1はそのなかで発行年がもっとも古く、現在普及しているハムレット戯曲に比べ約半分の行数で構成。そのぶん、凝縮されたドラマが疾走感をともなって展開されていきます。

各キャストが、初日前会見でコメントを発表しました。

吉田羊(ハムレット役)

初日を前に、ようやく皆さんに観ていただけるというワクワク感と、できればあと1ヵ月稽古したいという気持ちと複雑な想いでいます。

ハムレットはシェイクスピアが彼に託した膨大な独白が1つの見どころです。一つ一つお客さまに語りかけながら紡いでいきますので、皆さまにはハムレットと共犯関係を結んで、彼の復讐劇を最後まで見届けていただきたいです。

2021年上演の『ジュリアス・シーザー』に続いての男性役ですが、男性を意識した役作りは低く発声することぐらいしかしていません。今回は女性である私が演じるからこその女性としての身体機能を逆手に取った演出もありますので、ぜひ楽しみに観ていただければと思います。

演出の森(新太郎)さんは3年前と変わらず情熱的で、“100本ノック”も含めて厳しさは健在でしたが、この最難関といわれる『ハムレット』という作品の大変さを森さんご自身が一番ご存じで、稽古中休憩を取りたがらない森さん自ら役者のことを考えて休憩を取ってくださっていたのが嬉しくもあり驚きでもありました。森さんが一人一人のキャラクターに愛情をもって創ってくださったので、この群像劇において一人も埋もれることなくそれぞれのキャラクターが魅力的になっています。

お客さまには自分や身近な人を投影して、どこか自分事として楽しんでいただけたらと思っております。また、登場人物はどこか孤独で悲しく切なく、人生で何かしら失いながら生きている人たちですが、でもその先に救いがあるというところに向かって、美術セットや音響や照明、各セクションが力を尽くして美しく幻想的な世界を創り上げてくださっているので、そちらも注目してほしいです。劇場でお待ちしております。

飯豊まりえ(オフィーリア役)

舞台の経験が少ないというのもあって、私にとっては何もかもが新鮮でした。シェイクスピアの作品はキャラクターの想いがセリフにすべて書かれているので、演じるにあたり、そこに救われました。ハムレットとの唯一のシーンは、すれ違いや悲しみもありハムレットの狂気な部分をみてしまって、オフィーリアも変わっていってしまうシーンになるので、羊さんの思いをしっかりと受け止めて大切に演じていきたいと思っています。

稽古場では毎日新しい発見があって、自分が出演していないシーンでも観ていて楽しかったです。共演者の皆さんとの時間はすべてすごく大切な時間になっていて、千秋楽を迎えたらどんな気持ちになるだろうとワクワクしています。

千秋楽まで良いものがしっかりとお届けできるように、先輩方についていきたいと思っています。劇場でお待ちしております。

牧島輝(ホレイショー役)

演劇人なら誰もが知っている『ハムレット』に出演させていただけることを、非常に嬉しく思っております。吉田羊さん演じるハムレットはいろんな役と会話していくのですが、ホレイショーはその中でも親友で信頼を寄せている人物なので、ホレイショーにしか見せない顔をハムレットが見せてくれる瞬間が沢山あります。

演じていて嬉しくなったり切なくなったりといろいろな感情が生まれて、それをお客さまにも覗き見してもらい、さまざまな表情を楽しんでいただければと思っています。

難しい印象の作品ですが稽古場は明るくて、坂になっているセットでみんなで滑ってみたり楽しい稽古でした。シェイクスピアというと自分からすごく遠い存在と感じていたのですが、稽古を重ねていくうちに登場人物たちが人間味にあふれていて、生身の人間が演じるからこそ、描かれたこの時代を生きた人々が直に伝わる気がして身近な存在に感じられました。ハムレットが吉田羊さんだったからこそ、役としても近い距離で楽しんで演じられています。

ぜひ、注目していただけたらと思います。劇場でお待ちしております。

大鶴佐助(レアティーズ役)

やるべきことはやってきたので、あとはお客さまと一緒にこの作品を創り上げていきたいです。僕自身、『ハムレット』は小さい頃から何度も観てきましたが、作品の中に入るのは初めてです。なぜ、こんなにたくさんの俳優や演出家が長年に渡ってハムレットを創作してきたのかということ、こんなに面白い作品なんだということなど、中に入って初めて気付けたことや発見がたくさんありました。

また、この作品はどの役も全員が悲哀を抱えています。観にきてくださる方がどう受けとってくださるのか、すごく楽しみです。

広岡由里子(ガートルード役)

初日を迎えるワクワク、台詞を忘れないかというドキドキの2つで心が満杯です。

Q1版にしかない、ホレイショーとの2人のシーンは、特に大切に稽古した思い出があり気に入っているシーンです。シェイクスピアは何年も前の作品ですが、演じてみて、私たちが日々感じている感動や人との衝突などは、昔も今もなんら変わりないと思いました。観に来ていただける方にも楽しく受け取ってもらえるかと思いますので、楽しく伝わるよう努めます。

吉田栄作(クローディアス役)

初日はこれまで積み上げてきたものをお客さんに観ていただける、作品が船出していく瞬間で、初日の幕が閉じるときも特別な感動があるので、そんな日をついに迎えるんだな感慨深いです。クローディアスはハムレットの仇で、Q1版にはこれまでの罪を懺悔するシーンもあるのですが、懺悔をハムレットも見ているので吉田羊さんとの吉田対決は見どころだと思っています。

稽古場での、主演で座長の吉田羊さんのガッツは印象に残っていて、共演者もその姿をみながら一緒に積み上げてきました。最終日までこのカンパニーであればどんどん作品を深められるのではないかなと思っています。

今回この作品と向き合う中で命の尊さ、儚さを感じる毎日でした。このカンパニーとの出会い、お客さんと共有する空間はそれ自体が奇跡なんだと感じています。ぜひ、劇場でご覧いただければと思います。

【公演概要】

PARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』

作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
演出:森新太
出演:吉田羊、飯豊まりえ、牧島輝、大鶴佐助、広岡由里子/吉田栄作 ほか

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