【独自】「部屋の前にシャインマスカット」被害者知人が語った和久井学容疑者の“変貌” クラブオープン時に1000万円の札束 新宿タワマン殺人事件

東京・新宿区のタワーマンションで25歳の女性が殺害された事件。和久井学容疑者(51)は、平沢俊乃さん(25)の首などを刺し殺害した疑いがもたれている。

平沢さんが経営するクラブの常連客だった和久井容疑者について、Mr.サンデーが取材した知人男性は「知り合いのおじちゃんみたいな人」と聞いていたという。また、和久井容疑者が平沢さんに渡したという1000万円以上のお金については、平沢さんは「店の料金の前払い金として受け取った」と説明していたが、和久井容疑者は「経営を応援するために出した」と主張していた。さらに和久井容疑者は2年前、平沢さんに対するストーカー規制法違反の疑いで逮捕された。

Mr.サンデーが得たのは、その過去を知る数々の新証言。51歳の男が辿った凶行に至るまでの全貌が見えてきた。

懸命に働き、趣味に没頭する日々…結婚、離婚も

和久井容疑者の実家近くで飲食店を営む夫婦(妻):
会った時に挨拶してくれる。

和久井容疑者の実家近くで飲食店を営む夫婦(夫):
本当に気さくな方で、しゃべる口調だとかトーンだとか、本当に紳士的。

そう語るのは、和久井容疑者と10年近く付き合いがある近所の夫婦。

和久井容疑者の実家近くで飲食店を営む夫婦(夫):
(和久井容疑者は)仕事もしっかり普通にやっている方なんだろうなっていう印象だよね。

以前勤めていた職場の元同僚は、和久井容疑者について…

和久井容疑者の元勤務先の同僚:
バイク便やっていた時に一緒だった。面倒見のいい人だったんですよね。所長みたいなのもやったことあって。

かつて、小型の荷物を運搬するバイク便のライダーをしていたという和久井容疑者。

和久井容疑者の元勤務先の同僚:
和久井さんは稼いでいるので有名でしたね。“稼いでいるライダー”っていうのは結構有名になるんですよ。当時はバブリーで。本当、月に100万円とか。

そうして稼いだお金をつぎ込んだのは、趣味だったというスポーツカーや高級バイク。元同僚によれば、車は新車で約900万円はしたという。

同じ職場の先輩だった男性は、当時をこう振り返る。

和久井容疑者の元勤務先の先輩:
和久井くんは買ったばかりの車やバイクをわざわざ見せに来て自慢げだったよ。車体はピカピカにしていて、機能もかなりカスタマイズしていたし、相当、車とバイクが好きなんだなと。ヘルメットも10万円するもので、「かぶってみてくださいよ」と言われたけど、そんなの高すぎてかぶれないよ。

さらに、近所に住む夫婦も…

和久井容疑者の実家近くで飲食店を営む夫婦(妻):
すごく大事にされてたよね、車ね。いつもピカピカ。息子が小さい時に赤い車を見ていたんです。見ていたら 「かっこいいだろう」って、おじちゃん(和久井容疑者)が話しかけてくれたとか。

懸命に働き、趣味に没頭する日々。それと前後して、和久井容疑者は人生の転機を迎えていた。

和久井容疑者の元勤務先の先輩:
20年くらい前、和久井くんは結婚式を挙げて、奥さんと車とバイクと記念写真を撮っていました。

しかし、その幸せな時間も長くは続かなかったという。

和久井容疑者の元勤務先の先輩:
和久井くんが離婚した時、報告に来ました。特に変わった様子はなかったよ。「車とバイクに夢中になりすぎたんじゃない?」って言ったら、笑っていたし。

離婚後も特段の変化は見られなかったという和久井容疑者。しかし……。

平沢俊乃さんが営むガールズバーへ

2021年、和久井容疑者が通い始めたガールズバーを経営していたのが、被害者となった平沢俊乃さんだった。当時を知る人は「平沢さんはもともと銀座の高級クラブでNo.1ホステスの座を譲らなかったほど、すごく人気でした」と話す。

若くして独立し、ガールズバーを経営していた平沢さん。自らは「平明日香」の源氏名を名乗っていたという。

平沢さんが経営していた店の元従業員:
(和久井容疑者は)誰がお話しても気さくに話してくれるし、女の子の話に結構何でも合わせられるタイプの人で、かわいらしい感じの雰囲気の人でしたね。

元従業員は当時の和久井容疑者と平沢さんの様子をこう証言する。

――(和久井容疑者は)お金に困っている感じではなかった? 平沢さんが経営していた店の元従業員:
困ってる感じはなさそうでしたね。シャンパン入れたりとかもあったんで。(会計は)たまに10万円超える時があるぐらいだったと思います。
(2人は)仲はよさげでした。ただ、たまにけんかとかしてたみたいです。内容までは聞いてないんですけど、LINE上でけんかしてて、和久井容疑者が「もういい!」みたいな感じになって。でも、特に明日香(平沢)さんも追いかけるわけでもなく、放置してたら勝手にお店に来るみたいなことはよくあったみたいですね。週2~3は来てたんじゃないですかね。

「今日抱かせてよ」和久井容疑者の行動がエスカレート

当初は、上客として店に通い続けていたという和久井容疑者だが、次第に変化が現れていったという。

平沢さんが経営していた店の元従業員:
みんなで“わっくん”とか“わくちん”とか呼んでいたんですけど、“わくちん”がだんだんストーカー気味になってきたみたいな話は聞いてて。店が(和久井容疑者を)出入り禁止にしたみたいで。明日香(平沢)さんに対して体の関係を求めたりするようになって、お店が終わった後に「今日抱かせてよ」みたいな。

その後、和久井容疑者の行動はエスカレートの一途をたどったという。

平沢さんが経営していた店の元従業員:
最初は待ち伏せだったのが尾行するようになったり。マンションの前で先回りして待ち伏せするようになったとかいう話はよく聞いてて。明日香(平沢)さんも帰る時間を毎日変えたりとか。尾行されてるってなって警察を呼んで、パトカーで帰ったこともあったっていう話は1回聞きましたね。

高級車とバイクを売却

そうしてストーカー行為を繰り返す中、和久井容疑者はある行動に出た。

「20年9ヶ月乗ったNSXを手放しました、本当にカッコよかったよ」
(和久井容疑者のフェイスブックより)

2021年11月に高級バイク、12月に高級車と、立て続けに売却。当時の同僚たちは…。

和久井容疑者の元勤務先の同僚:
1000万円で売れたとか。あんなに大事にしてたのにもったいないなって正直思ったんですよ。

和久井容疑者の元勤務先の先輩:
和久井くんは「維持するのが大変だから」と言っていました。

「NR君、16年間の君との楽しい思い出は忘れないよ、今までありがとう、新しいオーナーさんに大事にしてもらうんだよ、元気でねバイバイ」
(和久井容疑者のフェイスブックより)

愛車との別れを感傷的につづっていた和久井容疑者だが、売却前、別れを惜しむようにSNSにアップしていた写真の背景をみると、高級感のあるベージュの壁、その奥には緑が見え、床は石畳のようなデザインが確認できる。そこは、平沢さんが住んでいたタワーマンションのエントランスとみられる場所だった。事実関係は明らかになっていないが、和久井容疑者がひそかに平沢さんのマンションで撮影したものだったのか……。

「いきなりバーンって1000万円の札束を…」

和久井容疑者が愛車を大金に換えたその後、2021年12月に平沢さんは、東京・上野周辺にクラブをオープンした。和久井容疑者は花を贈り、自身も来店していた。

平沢さんの店の常連客:
和久井容疑者と平沢さんはコロナ禍だったので1.5mの距離をとっていました。すると、私の見ている目の前で、いきなりバーンって平沢さんに1000万円の札束を見せたんです。

平沢さんは驚きつつも、1000万円の札束を他の客に触らせていたという。

平沢さんの店の常連客:
(平沢さんに) 後で「その1000万は何?」って聞いたら、「自分の車を売って現金をつくったらしいよ」って言っていましたね。

オープン初日という記念すべき日に他の客の目の前で平沢さんに渡したという1000万円。自分こそが本命だというアピールだったのか。

そして、その翌日もまた店を訪れた和久井容疑者は…。

平沢さんの店の常連客:
あとで平沢さんから聞いたんですが、閉店後の深夜2時ごろ、和久井容疑者が店の出口でずっと待っていたそうです。さらには、店内にも入ってきてもめたというんです。後日、店の郵便物が盗まれることもあったと聞いています。

そして、オープンから約半年後、平沢さんを知る人によると、SNSにこんな投稿があったという。

クラブ開店時を知る人:
ストーカーでちょっと営業を控えてます、みたいなことをちらっと読んだので。

ストーカーを理由に、突然の閉店。しかし、その後も…。

クラブ開店時を知る人:
新宿警察が来ていて「ストーカー」とかという単語が聞こえたんで…。

思い悩む平沢さんから相談を受けていたという知人男性が、Mr.サンデーの取材に語った。

――容疑者と面識は? 平沢さんの知人:
あります。(和久井容疑者と)お互い顔と名前を知ってる程度で。(直接)注意は何回かしましたね、そういうのやめてあげてほしいみたいな。車でよくつきまったりとかしてたんで(平沢さんは)どこに行くのにも(和久井容疑者が)「いるか」「いないか」とか。家に帰らずにホテルに泊まりに行ってる時もありましたね。警察から言われて。今日自宅に帰ると危ないからホテル取って泊まってくださいみたいな。

自宅玄関前に「シャインマスカット」

常に、平沢さんの日常につきまとうようになっていた和久井容疑者。相談を受けていたという知人男性はこんな話を聞いたという。

平沢さんの知人:
店から(マンションに)ついてきたりとかして。(部屋には)入ってないんですけど、部屋の前まで多分来てなのか、土産みたいものを置いている時とかは1回。

――何を持ってきた?
平沢さんの知人:
シャインマスカット。(平沢さんは)引いてましたよね。

2021年冬、タワーマンションに住む平沢さんの自宅玄関前に何者かが置いていったというシャインマスカット。

2021年12月、平沢さんは「しつこく言い寄られたり、自宅前で待ち伏せされたりする」と警察に通報。複数回に渡りストーカー被害を訴えたが、常連客によるとそれでも被害はやまなかったという。

平沢さんの店の常連客:
平沢さんが自宅からタクシーで上野へ買い物に行った時、店を出たら、和久井容疑者の車を見つけたそうです。「ストーカーがいる」と警察に保護を求めたと聞きました。

そして2022年5月、警察の口頭注意や書面警告を無視し平沢さんにつきまとい続けた和久井容疑者は、ついにストーカー規制法違反の疑いで逮捕され、20日間の勾留後、起訴猶予で釈放された。

だが、和久井容疑者は逮捕前「なぜ被害に遭っている私がストーカー犯と言われなければならないのか」と、自ら川崎市の警察署を訪れ、平沢さんとの金銭トラブルを主張していたという。警察は、金銭トラブルの証拠はなく事件化は難しいとして、弁護士に依頼するようアドバイスしたという。

逮捕後、和久井容疑者には平沢さんに対する接近禁止命令が出され、その後はストーカー行為やトラブルは確認されなかったという。2023年6月に接近禁止命令を延長するか問われた平沢さんは「しないで大丈夫」と返答。トラブルは終わったかに思われた。しかし…。

事件の目撃者:
男性が女性に馬乗りになっていて、犯行時間で言うと、3~4分ぐらい。「このキャバ嬢に1800万円貢いだのに俺をストーカー扱いしやがって」みたいな。警察が来た時には「お前ら警察のせいだ」みたいな。

2年の時を経て、突然起きた事件。和久井容疑者は「体を傷だらけにしてやろうと思って刺した」と供述している。
(「Mr.サンデー」5月12日放送より)

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