室屋義秀選手「エアレースX」連覇へ 一方、候補生はついに“2人”に…【室屋義秀選手が育成、パイロットの夢を掴むのは誰だ!?⑥】

世界最高の飛行技術を競う国際レース「エアレースX」。初開催された去年、優勝に輝いた室屋義秀選手は、今シーズン、シリーズ総合優勝を目指します。一方、室屋さんが次の世代を育てる日本初のプログラムは、スタートから1年が経ち、候補生は32人から2人にまで絞られました。【からつづく】

「エアレースX」は、デジタルとリアルを組み合わせた新しい国際レースです。選手が世界各地で実際に飛んだフライトデータを集約し、AR=拡張現実の技術を使ってレースを再現します。

去年初めて、東京・渋谷を舞台にレースが行われ、福島市在住のエアレースパイロット室屋義秀さんが初代王者に輝きました。

その興奮が今年もやってきます。8日に記者会見に臨んだ室屋選手は、まもなく始まる第1戦に向けて強い決意を語りました。

室屋選手「初戦はすごく大事。前半は様子見しながら、後半一気に全部総どりする展開かなと思っている」

優勝のカギはレース機の開発

今年参戦する選手は8人。レッドブルエアレースでも活躍したトップパイロットたちです。今年は年間3回レースが行われ、総合成績でシリーズチャンピオンが決まります。

室屋選手「応援してもらって『福島の力』で世界をとりにいく。年間のチャンピオンシップの戦い方についても、過去の経験を含めてミスがないよう確実にとりにいくことが大事」

優勝争いのカギを握るのがレクサス・パスファインダーエアレーシングによるレース機の開発。なかでもパイロットの能力を最大限に引き出すシートサポートの開発に力を入れました。完成したシートサポートは室屋選手専用で、反応速度がアップし、記録向上が期待できます。

レースパイロットとして日本を牽引する室屋選手。世界一を目指す一方で力を入れているのが人材の育成です。

パイロットの候補生、32人から次々脱落…

1年前、次の世代のパイロットを育てる日本初のプログラムをスタート。訓練にかかる費用は室屋選手のチームが負担するという恵まれた環境で、レースパイロットを目指す32人の若者が挑戦を始めました。しかし、厳しい訓練と選考を勝ち抜くことができず次々に脱落。

冬の間、茨城県で進められた訓練には、数々の試練を乗り越えた4人が参加。教官と一緒に練習機に乗り込み、実際に操縦して訓練に励みました。

そして、4月に行われた選考会。この日は、訓練生たちの準備不足が重なり、フライトの予定が大幅に遅れていました。

室屋選手「ゆるみ感がまん延してきた。準備が…準備もできない感じですね、小学生みたい。親が助けてくれるみたいな感じがすごくある。これだと(試験に)落ちる。非常にあやしい感じの雰囲気を漂わせている。すでに30分以上ロスしている」

「心を変えない限り無理」室屋選手から檄

訓練開始からまもなく1年となるこの日。いつも冷静な室屋選手が珍しく声を荒らげました。

室屋選手「(マニュアルを)読んでいないだろ、ちゃんと。それは読んでないって言うんだ。飛んで自分でこの機体を扱うんでしょ?眺めただけで、いざ空中に上がって何かあったらどうするの?言われたことをそのままやる、できるようになるまで。そこからは自分で考えてもいいけどまだまだそんなレベルではない。読んでって言ったら読む、読むんだよ。読めって言ったら読む、そのままストレートに。心を変えない限り無理。はっきり明確に言っておきます、全員がそうです。本当にトップ目指すんだったら言われた通りにやる。しないんだったら他に行ってやってくれという世界。」

室屋選手「今回の主席通過は77.45%りゅうせい。2番セイヤ60.14%。合格者は2人」

レースパイロット候補生は、1年で2人に絞り込まれました。

室屋選手「目標は総合優勝。ふくしまスカイパークで常にトレーニングして今まで世界をとってきているので、チームふくしま、県民の力を結集してまた世界一をとりにいきたいと思っている」

エアレースXの第1戦は、5月10日から19日まで予選が行われ、決勝は26日にオンライン配信されます。予選期間中、ふくしまスカイパークでは室屋選手の気合が入ったフライトを見ることができますが、天候によってスケジュールが変わりますので、最新情報はレクサスパスファインダーエアレーシングのXで確認してください。

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