六本木の“なんたってパンがおいしい”優雅なモーニングを『bricolage bread & co.』

地下鉄六本木駅から徒歩6分。「けやき坂テラス」の1階にあるベーカリーレストラン『bricolage bread &co.(ブリコラージュ ブレッド&カンパニー)』。国産小麦の全粒粉を使用したパンとともに、安心安全の食材を吟味した料理とコーヒーがいただける。

焼きたてのおいしいパンと淹れたてのコーヒーを朝から満足したら、なんだか1日いい予感♪

地域に根付き、パンのおいしい食べ方を広めたい

六本木「グランドハイアット東京」の向かいにあるのは、フレンチレストラン『レフェルヴェソンス』生江史伸シェフ監修の、ベーカリーレストラン『bricolage bread &co.』だ。

店舗のテラスからさくら坂が一望でき、コーヒーを飲みながら季節の移り変わりを感じることができる。

アンティーク調のシックな外観。
さくら坂に面したテラス席は四季折々の景観が楽しめる。テラスとレジまではワンちゃん同伴OK。

「2018年にオープンして以来、ひたすら毎日おいしいものを作ることを繰り返しているうちに、やっと地域に根付いたと感じています」

おしゃれな外観に少々緊張しながら店に入ると、マネージャーの河本将さんが話を聞かせてくれた。

店内はテーブルや椅子、床も木が使われていて温かみがある。まずはどんなパンがあるか見てみよう。

開店と同時に少しずつ陳列台にパンが並び始め、シーズナルメニューを含めると約40種のパンが並ぶ。

朝7時の開店直後はクロワッサンやパン・オ・ショコラなど6、7種が並び、次々に品数が増えていく。仕事前に立ち寄る人や、お休みの日に少し早起きしてテラスでゆっくりくつろぐ人、ワンちゃんのお散歩に合わせて朝・夕2回のカフェタイムを楽しむ人もいるそうだ。

このお店の焼きたてクロワッサンとコーヒーのモーニングなんて、筆者だったら楽しみすぎて前の晩から眠れないかも。

パンの陳列台の横にある窓からパンを仕込んでいる様子が見える。

朝7時にオープンしたら10時にはモーニングメニューから、終業まで提供されるオールデイメニューに切り替わり、ハンバーガーなども提供しはじめる。

木を基調にした店内はナチュラルで温かみがあり、大きな窓から自然光がたっぷり入る。

店内を見回すと外国人の姿も目立つ。「グランドハイアット東京」に宿泊している人がわざわざこの店に来て朝ごはんを食べることもあるそうだ。

さて、今日はどんなモーニングにしようかな?

アボカド好きが狂喜乱舞。ふっくら農民パンのアボカドトースト

メニューを見てみると、朝は食パンのセットやパンケーキ、自家製のグラノーラなどがある。先ほど店頭でチェックした焼きたてパンに、プラス250円でコーヒーか紅茶をつけるのもアリだ。うーん、どれもおいしそうでなかなか決められないな。

「一番人気はコンビーフエッグベネディクトです。ブリコラージュブレッドに、豆腐サワークリーム、沖縄『TESIO』のコンビーフ、アリスの卵、オランデーズソースなどがかかっているんです。農民パンを使ったアボカドトーストもおいしいですよ」と河本さん。

メニューを選んで先に精算をするスタイル。会計の順番を待つ間、メニューを決めよう。

ああ、さっき黒板で見た農民パン! 卵やバターを使わずシンプルに焼き上げた素朴なパンで、「そのままorバタートーストでも(おいしい)」と書いてあった。一番人気のメニューも気になるが、筆者はアボカドも大好物なので、アボカドトースト1450円にしよう。さらにモーニングタイムはプラス250円でTODAY’S COFFEEがおトクに飲めるということで追加した。

素朴な味わいで、ふんわりと柔らかい農民パンは幅広い年代に人気。

ダイニングから見えるオープンキッチンで調理の様子を見せてもらった。

まずはスライスした農民パンをトーストし、豆腐サワークリームを塗る。続いてカットしたアボカド、ハチミツ、パプリカパウダー、砕いたナッツをかけ、最後にフレッシュなレモンの果皮を上からおろしかける。

豆腐を混ぜた豆腐サワークリームをたっぷりパンに塗る。

マヨネーズの代わりに使用する自家製の豆腐サワークリームは、ほかのサンドイッチメニューにも使用されている。「食材とパンをつなげてくれる」のだそう。

「サワークリームだけだと味が立ちすぎるんですけど、少し甘みがあって、自家製なので微調整ができるのがいいですね」

パンの上にはアボカドがたっぷり。

「農民パンはハードそうに見えるんですけどすごく柔らかいんです。小麦粉は味わいが濃い千葉県の『今村製粉所(イマフン)』さんの全粒粉と、北海道産の小麦粉を使っています」と河本さん。見た目だけでも香ばしさが伝わってくる。早く食べたい!

そしてたっぷりアボカドにはちみつを。天然の甘みがこのトーストには欠かせない。

アーモンド、カシューナッツ、くるみ、カボチャの種、コリアンダーシード、クミンホール、塩を混ぜたデュカをたっぷりかける。
レモンの果皮をすりおろしてパンにのせる。う〜ん、そばにいるだけで爽やかなレモン香りがする。

ワクワクしながらテラスに戻り待っていると、アボカドトーストがコーヒーとともにやってきた。

趣がある、デットストックの有田焼のお皿。

まずはコーヒーをひと口。この日は『FUGLEN COFFEE ROASTERS TOKYO(フグレンコーヒーロースターズトウキョウ)』の“ブランブリ”だ。フルーティでナッツのような香ばしさもあり、後味がすっきりとしているから朝にピッタリ。

アボカドトーストにナイフを入れると、思ったよりパンが柔らかくて簡単に切れた。ひと口食べてみると、パンの外はパリッとしているが中はふんわり。咀嚼するごとに全粒粉の旨味や香ばしさ、アボカドのまろやかさ、ザクザクとしたデュカが全員手をつないで迫ってくるような衝撃が襲ってきた。最後にレモンがふわ〜っと香ってきて、なんともさわやかだ。

ふんわりしたパン、トロンとしたアボカド、カリッとしたナッツなど食感も楽しい。

上にのっているのは個性的な食材ばかりなのに、農民パンの味わいが主体になっているのがすごい。

「自家製の酵母から旨味を感じるのかもしれませんね。うちはパン屋なのでパンを使った料理が多いんですけど、逆に言うと、それは家庭でもできるパンのアレンジの仕方の提案でもあるんです」

顔の見える生産者から素材を吟味して使用する

『bricolage』はパン作りや料理の技術だけでなく、素材を吟味しているのも特筆すべきところだろう。パンの原料となる小麦粉はすべて国産を使用。小麦粉だけで10種類ほどを取り寄せ、パンの種類によって配合を変えているそうだ。

「使用する食材はできるだけ作っている人の顔が見えるものを使いたいんです」と語る河本さん。そこには食の安心、安全のほかに生産者へのリスペクトもあるのだろう。取材した4月は旬の食材を使ったイチゴのタルティーヌやレモンクロッカンなどが並んでいた。

朝食の1番人気・コンビーフエッグベネディクトに使われているパンはこれ。

パンと料理、それから『bricolage』に欠かせないのがコーヒーだ。富ケ谷にある『FUGLEN COFFEE ROASTERS TOKYO』と、目黒にある『SWITCH COFFEE TOKYO(スイッチコーヒートウキョウ)』から、バリスタが豆を選んでいる。

「『フグレン』さんのはフルーティさがありながら甘さも感じられるコーヒーで、『スイッチ』さんは少し深い味わいなのでカフェラテに合うんですよ」

フグレンロースターズトウキョウのコーヒー。豆の販売もしている。

「おいしいパンとコーヒー、それをつなぐ料理によって、日常が少しでも豊かになったらいいなと思っていますね」と河本さん。

たかが朝ごはん、いいや! されど朝ごはん。1日のはじまりにおいしいものを食べれば、その日はうまくいきそうな気がする。おかげで今日は元気モリモリ120%だ〜い!

bricolage bread&co.(ブリコラージュ ブレッド&カンパニー) 住所:東京都港区六本木6-15-1けやき坂テラス1F/営業時間:7:00〜19:00/定休日:月(祝の場合は営業)/アクセス:地下鉄日比谷線・大江戸線六本木駅から徒歩6分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢

アート・サプライ
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1971年創業の編プロ。「旅&食&散策」ジャンルに強く、情報誌では子供向けから鉄道やドライブでの大人旅まで。さらにグルメ系ではラーメンや唐揚げ専門情報誌をはじめ、日本全国うまいもの紹介なども手掛けている。

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