カタルーニャ自治州選挙、スペイン政府寄りの社会党が第1党に 独立派は過半数割れ

スペインのカタルーニャ自治州で12日、州議会選挙が行われ、中央政府のペドロ・サンチェス首相の流れをくむカタルーニャ社会党が第1党となった。一方、同州のスペインからの分離独立を目指す勢力は過半数割れした。

開票率99%の時点で、カタルーニャ社会党は42議席を獲得。大きく議席数を伸ばして勝利した。

これに対し独立派は、カタルーニャ政府の統計局によると、得票率が2017年の49%から42%に落ち込んだ。

今回の選挙では、地域の干ばつ問題や住宅危機などが焦点となり、カタルーニャ自治州と残りのスペインとの関係は大きな争点とならなかった。

カルレス・プッチダモン元州首相が率いる独立強硬派の「カタルーニャのための連合(JxCat)」は35議席を獲得。独立派の最大党としての地位を、現在の州与党「カタルーニャ共和主義左翼(ERC、20議席)」から取り戻した。

しかし全体として独立派は支持を失い、州議会を支配できなくなり、独立運動にとっては打撃となった。

それでも独立派は近年、中央政府から大幅な譲歩を引き出しており、独立の是非を問う住民投票を要求し続けている。

独立派に対する恩赦法が奏功

サンチェス首相は今回の選挙結果を受け、自身のカタルーニャ自治州政策、特に分離独立活動で法的措置に直面しているナショナリストに対する恩赦法の正当性が証明されたと考えるだろう。

JxCatとERCは2019年11月、恩赦法の成立や独立に向けた協議を条件に、サンチェス氏の首相就任を認めた経緯がある。

この恩赦法はスペイン議会で審議中だが、右派の野党から激しい反発を招いている。

2017年に独立を問う住民投票を強行し、その後国外に逃亡したプッチダモン氏は、恩赦法の恩恵を受けてスペインに戻る見込みだ。プッチダモン氏は今回、フランス南部から選挙活動を行った。

連立交渉は長引く見通し

カタルーニャ社会党のサルバドル・イジャ党首は、「カタルーニャに新時代が来た」と結果を歓迎。「スペイン政府とペドロ・サンチェス首相によって実行された政策」によって勝利がもたらされたとし、感謝の意を述べた。

ただし、同党は過半数議席を確保していないため、州政権の樹立にはERCや極左政党スマールから支持を取り付ける必要がある。

JxCatのプッチダモン氏はERCに対し、親中央政府派であるカタルーニャ社会党との連立に参加しないよう求めている。その代わり、JxCatとERCの二大独立派政党での政権発足を目指すべきだとしている。

「ERCが架け橋の再建を望むなら、我々も同じだ」と、プッチダモン氏は述べた。

しかし、同州議会は中央政府派と分離独立派だけでなく、左右の対立でも分裂しているため、交渉は長引くとみられている。新政権が成立しなければ、再選挙となる。

今回の選挙では、保守派の民衆党が大きく躍進し、第4党となった。対照的に、自称中道派のシウダダノスは、カタルーニャ州の主要勢力となってからわずか7年で議席を失った。また、極右新党のカタルーニャ同盟は、分離主義と反移民政策を掲げて2議席を獲得した。

(英語記事 Spain Socialists win Catalan vote as separatists lose ground

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