tofubeatsとAile The Shota、BACARDIポップアップストアでスペシャルライブ コラボ曲制作秘話も

5月10日、東京・ZeroBase渋谷に、tofubeatsとバカルディによる音楽プロジェクト『BACARDI Sound Distillery 音楽蒸溜所』と「バカルディハイボール」が同時に楽しめるポップアップストア『BACARDI SOUND DISTILLERY HOUSE』が期間限定でオープンした。それに伴い、同日18時半より、2024年の第1弾コラボとなったtofubeatsとAile The Shotaによる招待者限定ライブが行われた。

まずは、tofubeatsがDJブースへ。東西の多種多様な音楽を観客のもとへと送り出し、体の奥にずっしりと染み込むビートを響かせていく。tofubeatsの楽曲やこれまで『BACARDI Sound Distillery 音楽蒸溜所』で発表してきたコラボ曲なども展開され、特にメジャー・レイザー「Jump(feat. Busy Signal)」でtofubeatsが「盛り上がってみます?」と観客を煽ると、ここまでに生まれていた自由なノリがさらにヒートアップ。全員が体を揺らして心地よいビートの大波に乗り、楽しげな空間が出来上がった。

tofubeatsが「ここからは皆さまにスペシャルなライブをお届けできるということで」「ライブパートに移りたいと思います!」と話すと、Aile The Shotaが颯爽と登場。まずは2人が2022年に初コラボしたAile The Shotaの楽曲「LOVE」をパフォーマンスした。“これぞtofubeats”と言えるサウンドの中にAile The Shotaの優しく語りかけるような歌声が響くと、観客はその音色にうっとりと聴き入っていく。そして、曲の終盤、Aile The Shotaが歌詞を即興で「だから目に映る君に会いに来たんだ」と変えて歌うと、観客のボルテージは最高潮に。楽曲が終わっても、2人のアーティストが生み出した熱が会場内に漂う。

Aile The Shotaはその様子を見て「聞くまでもないな。調子、最高ですね」と満足そうに話すと、「ハイボール飲ませていただいちゃって。まだ皆と乾杯してないので、エアーで」と前振りし、大きな声で「乾杯!」とコール。そして、「Aile The Shotaなりの、『怖くても前に進め』という思いを込めた曲です」という曲紹介から、イベント前日にリリースされた新曲「Thrilling Moves feat. Aile The Shota (Blended by tofubeats)」を披露。tofubeatsとAile The Shotaの化学反応によって生まれた楽曲を存分に味わって、ライブイベントは幕を閉じた。

今回、ライブを終えたばかりのtofuebeatsとAile The Shotaに話を聞くことができた。

まず、今作で2回目のコラボを実現できた感想を尋ねると、Aile The Shotaは「やっぱり1作目を超えられればという思いがあったので。良いプレッシャーの中でやれて」「『LOVE』はオファーの段階からテーマが決まってましたけど、今回はより“Aile The Shotaみ”を出せたのかなと」と満足げにコメント。tofubeatsは「前と全然違うものにしたいというのは、心の中にあって。それが達成できた」と、Aile The Shotaと同様に感じていることを語った。

楽曲を制作する上では、「Thrilling Moves」というテーマを受け、tofubeatsはジャンルの枠組みに収まらない曲にすることを強く意識したという。彼はその話に続けて、「Shotaくんが『どうしたらいいかな』って思うような曲にしたいなって」「(Shotaとのやり取りの中で)戻ってきたものを、自分がある程度ルートを引くんじゃなくて、Shotaくんがどうとでも返せるみたいな、自分としても楽しめる余地をいっぱい持っていたかった」と語り、制作中にはあまりの自由度の高さに「お互いギリギリで(アイデアを)出しあう感じで」「無理かも」と思うこともあったと明かした。Aile The Shotaもその話に同意し、「(tofubeatsからデモとして)何個かいただいた中で、一番難しいやつがこれだった」「制作、だいぶスリリングだったな(笑)」と振り返った。

新曲の必聴ポイントは、Aile The Shotaが「トラックにはめた歌詞を聴いてもらえると嬉しい」と断言。「進まないことは怖い」という楽曲のテーマを描くにあたり、Aile The Shotaならではの説得力を出すことを意識したそうで、リリックを書く際は「僕が普段から大事にしてる感覚を全て引っぱり出してきた」という。tofubeatsはそんなAile The Shotaのリリックを最大限活かすサウンドづくりを心がけたといい、デモ段階ではサビのない、AメロとBメロがループする平坦なトラックだった楽曲が、Aile The Shotaとのやり取りの中で現在の形に仕上がり、その過程が「すごく楽しかった」と笑顔で語った。

そうした楽曲制作を経て感じた、お互いのリスペクトポイントも聞いてみた。以前からtofubeatsを敬愛していたAile The Shotaは、彼のすごさについて「“tofubeatsらしさ”が太いところ」と熱弁。「こういう制作でも、最後のアレンジでめちゃくちゃ“tofubeats”になる」「柔軟なアイデンティティの強さはすごい」と、今回改めてリスペクトの気持ちが高まったことを明かした。一方のtofubeatsは、「正直、このトラックを選んでくれただけで100点」「やる気やなと感じた」と話し、「音楽を作る上で、上手くいかなかったとしてもチャレンジする気概が大切だと思っている」「今回の楽曲は、どんな方向にも行けるというのがあったので」「難しくてもちゃんと打ち返せる人なんだと、めちゃくちゃ感動した」「(Shotaの)瞬発力が見れて嬉しかった」と、Aile The Shotaの姿勢に感銘を受けたことを語った。

最後に、今回はバカルディとのコラボということもあり、2人が好きな「お酒を楽しむシチュエーション」を尋ねた。tofubeatsは「自分はDJをやってるので、やっぱりクラブでお酒を飲むって、マジでいいもので」と、しみじみトークを繰り広げる。そして、クラブではまずラムコークを飲むことが多かったといい、「記憶に残ってる味だったり、シチュエーションだったりするので。(ラムコークを見ると)エモいですよね」「自分の曲を聴いている人にも、飲めるなら飲んでほしい」と、リスナーへのメッセージもあわせて語ってくれた。Aile The Shotaはお酒を飲み始めた時期とクラブに行き始めた時期が同じタイミングだったといい、「クラブじゃないと聴けない音楽を聴きながら飲むお酒も好きですし」「酔っぱらうと語る癖があるので」「普段開かない扉を1枚くらい開いて語るのが好きです(笑)」と楽しそうにお酒にまつわるエピソードを話してくれた。

5月10日にオープンしたポップアップストアは、19日まで開催中。詳細は下記の通り。

(文=市岡光子)

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