大谷翔平が本塁打と高打率を両立できるワケ 数字が示す進化…三振激減を呼んだ“自身のゾーン”

ドジャースの大谷翔平【写真:ロイター】

三振率も空振り率も向上…審判とは別のストライクゾーンがある?

米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手は今季、打率.352で現在ナ・リーグ首位打者を走る。一方で代名詞の本塁打も同僚のテオスカ―・ヘルナンデス外野手と並びリーグ2位だ。更に長打27本、長打率.667は大リーグで断然のトップ。右ひじのリハビリ途上で、打者一本でプレーする今季、なぜこれほどの進化を果たせたのか。数字を掘ってみると浮き上がる姿がある。

大谷が大リーグ入りした2018年以降に残した打率を見ると、昨季の.304が最高。1回目の右ひじ手術から復帰した2020年の.190から少しずつ上げ、ついに3割打者の仲間入りを果たした。

今季はさらに、開幕から高打率をキープ。4月24日(日本時間25日)には.371にまで達している。この急上昇と関係していそうなのが、三振率の大幅な減少だ。MLB公式の統計サイト「ベースボール・サバント」を見ると「K%」は18.6%。昨季の23.9%から5.3ポイントも向上させている。

大リーグ入りした2018年の「K%」は27.9%。これはリーグ下位8%圏内の数字だった。46本塁打を記録した2021年には29.6%で、これは同じく下位7%。長打と引き換えに三振も多い打者だった。

この問題を今季は一気に改善してきた。空振り率を示す「Whiff%」が32.3%から25.2%に7.1ポイントも上昇している。なぜこのようなことができるかといえば、自身のストライクゾーンを確立できているからだろう。

今季の大谷は、ストライクゾーンからわずかに外れた球を強打している場面が目立つ。米データサイト「ファングラフス」によれば、ストライクゾーン外のボールをスイングした割合を示す「O-Swing%」が昨季の30.0%から24.9%に大きく向上し、そのボールをコンタクトできた確率「O-Contact%」も49.9%から58.9%に進化している。ボール球も“振らされている”のではなく、自身が打てると判断し、しっかりとらえている姿が浮かび上がる。

今季4月23日(同24日)のナショナルズ戦で時速118.7マイル(約191キロ)の自己最速本塁打や、同27日(28日)のブルージェイズ戦で時速119.2マイル(約191.8キロ)の最速安打をマークしているように、大谷の平均打球速度はメジャーでもトップクラスの94.5マイル(約152キロ)に及ぶ。しっかり当てることさえできれば、野手の間を抜けたり長打になる確率も高まる。審判の判定とは別にある“自身のストライクゾーン”が崩れなければ、当面好成績は続きそうだ。

THE ANSWER編集部

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