『アクマゲーム』第6話 「命のやり取り」で視聴者に恐怖を与えないという試み

間宮祥太朗が変な鍵に運命を翻弄されながら、変なゲーム大会に強制参加させられて大変な感じのドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)も第6話。佳境に入ってまいりました。

これまで、ゲームそのものが前提条件無視のイカサマまみれでどうにも乗り切れないという話ばかりしてきましたが、もうそこはあきらめて、今回からはそれ以外のところで考えていきたいと思います。

振り返りましょう。

■キャラ立ちはしている

前回から、絶海の孤島に連れて来られてアクマゲームに参加させられている8人。このゲームを支配しているグングニルという組織の人(小澤征悦)がいて、参加者同士が命をかけてゲームをさせられている。

この参加者たちは相手をブッ殺したいと思っているわけではないので、基本的には無事にみんなで家に帰ることが目的となります。

つまりは『バトル・ロワイヤル』(00)の構図なわけですが、『バトロワ』が純粋な殺し合いだったのに比べると、『アクマゲーム』では対決の敗者も勝者に「命を預けている」という状況ではあるものの、普通にその場で生きていて物語にかかわってくるようです。

メンバーは父の敵討ちを誓う主人公の照朝(間宮)と、その幼なじみの初(田中樹)、悠季(古川琴音)。それに以前、照朝とゲームをしたことで仲良しになった潜夜(竜星涼)。この4人が中心メンバーとなり、残りのアイドル、心理学者、将棋の竜王、トップYouTuberが脇に控えます。

まず、この8人がちゃんと見分けがつくんですね。画面に出てきた瞬間に「誰だっけ」と思うことがない。ノリとしては潜夜くんとYouTuberが似ているんですが、前回あえてこの2人だけで島を散歩させてピンチに陥れ、それぞれの個性を視聴者に認識させるということをしている。そういうところはちゃんと作ってるなと感じます。

幼なじみの初くんを闇落ちさせて支配者側に回らせたり、悠季の古川琴音とアイドルの嵐莉菜の衣装や振る舞いを両極端に振り切ったりと、「キャラを立てよう」というところには相当気を使っているし、成功していると思います。

それぞれキャラが立っているだけに、ゲームの前には「この人、どうやって勝つんだろう」という興味がちゃんと湧くし、だからこそゲームの内容がショボいことが悪目立ちするということが発生している。

■「絶海の孤島」のルールもゆるい

今回は、ゲームのほうは潜夜くんと悠季の対決が描かれました。悠季はそもそも母親と弟を誘拐されて、「ゲームに参加しなかったら殺す」と言われて仕方なく参加しています。

その悠季がゲームをしている間に、照朝が母と弟を孤島から遠隔で救い出すという経緯が描かれたわけですが、この段取りもなかなかにゆるかった。

詳細は省きますが、『アクマゲーム』というドラマそのものが視聴者に圧を与えないように、恐怖を与えないようにすごく気を使いながら作られていることを、今回は感じたんです。思い起こせばずっとそうで、たぶん世界配信の際のレーティングに引っかからないようにという配慮だと思うんですけど、その配慮と「命のやり取りを描く」というデスゲーム系の作風との相性が絶望的に悪いんですよね。物足りなさに直結してる。

そう考えると、始まった瞬間にあんまりいいものができないことは決定していたということになるんですが、そういう逆境の中で最終話に向けてどういう落とし込みをしてくるのかという、そっち方面の興味でもって見続けていきたいと思います。

何かに真摯に挑戦しようとしているドラマは腐したくないものですが、楽しもうとするのも大変だ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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