【独自】首都高タクシー横転2人死亡 通報者語る「恐ろしい事故…」 運転中に病死の可能性…乗務中の健康管理は?

道路に散乱する金属片…。その先には大破した1台のタクシーが止まっています。

フロントガラス全体がヒビ割れ、事故の衝撃の大きさを物語っています。

5月11日午後7時前、首都高速湾岸線の多摩川トンネル内でタクシーが横転。このタクシーを運転していた46歳の男性運転手と乗客の会社役員・松尾一郎さん(61)が死亡しました。

通報者を取材「運転するのが怖くなった…」

12日「めざまし8」が取材したのは、事故が起きた直後に通報し救助に向かったという男性。

通報した男性:
恐ろしい事故だなと…。運転するのが怖くなりましたね。

事故発生から約5分後、現場を通りかかった男性は、車を路肩に停車し通報。大破したタクシーに駆け寄りました。

通報した男性:
運転席の方に関しては脈も正直わからないような状態で、後ろの方は浅い呼吸っていうんですかね?もう苦しそうな呼吸をしてまして。ただ、呼びかけにも応じないで、脈もふれてるんだろうけれども正直よくわからないような状態でした。
さすがに状況的にやばいなと思ったので道路公団の方に電話と同時に救急も電話をして現着を待ちました。

男性は、他の人たちと協力しタクシーに乗っていた2人を救助。心臓マッサージを行ったといいます。

通報した男性:
完全に意識がないような状態でして、心臓マッサージをしてるような状態ですね。で、(隣に)もう一人男性がいて、同じように高速隊の方と交互に交代しながら心肺蘇生するっていう状態ですね。

見通しのいい道路で何が?運転手病死の可能性

事故が起きてから約30分後に撮影された映像を見ると、壁には車がこすったような跡が映っています。

警察によると、タクシーは片側3車線の左車線を走行中、縁石に接触した可能性があるといいます。
事故が起きた時、道路はどのような状況だったのでしょうか。同時間帯の現場に向かいました。

田中良幸情報キャスター:
まもなく午後7時、事故があったのと同じ時間帯になります。トンネル入ってすぐのところは緩やかな右カーブ。そしてその先、下り坂からさらに登っていくような形、3車線の比較的見通しのいい道路ですね。

見通しのいい直線の道路でなぜ事故は起きたのでしょうか?

警察によると、運転手に目立った外傷はなく病死の可能性もあるとのこと。事故現場から通報し救助にあたった男性は「誰のものかは分からないが、現場で錠剤が入った瓶が見つかり、中身が何らかの病気の治療薬だと捜査員が話しているのを聞いた」といいます。

今回の事故映像を交通事故鑑定人の中島博史氏に見てもらいました。

交通事故鑑定人 中島博史氏:
異変があったとして異変を感じて急ブレーキをかけて制御を失ったというのではなくて、走行中にそのまま制御不能になったのだと思います。可能性としては、脳内出血等で瞬時に意識を失うというような状況があったのではないかと。

運転手が何らの原因で体に異変をきたし、運転が困難になった可能性があるとしました。

交通事故鑑定人 中島博史氏:
予想できない病気の発症というのは、これは原則的に防げないと思います。ですから、そこはやはりシステム側での対応・自動運転技術がこれだけ進んできている中、やはり何らかの緊急事態の場合には、車側で停止できるような仕組みというのが必要なのだと思います。

タクシー運転手の健康状態の管理

運転中の病死の可能性もあるということですが、タクシー運転手の健康状態は各社でどのように管理されているのでしょうか?

国土交通省のHPに記載されている就業上による判断と対処では、定期健康診断による疾病の把握(義務)、自覚症状などによる疾病の把握(義務)、さらに主要疾病などに関するスクリーニング検査を推奨しています。
所見ありの場合、所見に応じた検査を含む診断や面接指導の上、就業上の措置の決定・医師等による改善指導が義務づけられています。そこから、判断目安に基づく乗務前・中の判断・対処という流れです。

また、タクシー会社の取り組みについて現役のタクシー運転手に聞きました。

出勤時のチェックでは、「呼気検査」「体温測定」「血圧測定」「車の検査」「運行管理の資格保持者と対面点呼(表情・体調面・睡眠時間などを会話で確認)」「勤務を一緒にする班員と朝礼(交通情報やイベント情報、体調などの確認)」を行い、さらに薬を服用している乗務員は服用する薬を申告する義務があるということです。
(めざまし8 5月13日放送)

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