インドネシアで大雨による土石流、41人死亡 たまっていた火山灰が住宅地に

インドネシア西部スマトラ島で11日、大雨によって洪水が発生し、マラピ山に堆積していた火山灰や岩石が土石流となって住宅地に流れ込んだ。これまでに少なくとも41人の死亡が確認されている。

当局は行方不明者も17人に上っているとし、死者数はさらに増える可能性があるとしている。

土石流は2県を襲い、民家100棟以上とモスク(イスラム教の礼拝堂)、公共施設などを損壊した。

インドネシアの救助当局によると、12日午後までに、最も被害の大きかったアガム県カンドゥアン村で19人、隣接するタナ・ダタール県で9人の遺体が確認された。

アガム県の主婦で3人の子どもがいるリナ・デヴィナさん(43)は、「雷が鳴り、水が沸騰するような音がした。マラピ山から大きな岩が落ちてくる音だった」AFP通信に話した。

また、「真っ暗だったので携帯電話を明かりとして使った。道がぬかるんでいて、何度も『神様、慈悲を』と唱えた」と振り返った。近所の家は「大きな岩でぺしゃんこに」なり、隣人4人が死亡したという。

環境団体「インドネシア環境フォーラム」のウェンキ・プルワント西スマトラ支部長は、今回の洪水について、少なくとも部分的には人間の活動が原因だとBBCインドネシア語に説明。「洪水と冷えた溶岩の土石流は、行き過ぎた天然資源の利用と行き当たりばったりの開発によって繰り返し発生し、激しさを増している」とした。

そして、「結果として、災害が毎年繰り返されている。実際のところ、回数は年ごとに増えている。災害と災害の期間が短くなっている」と付け加えた。

マラピ山はスマトラ島で最も活発な火山で、現地のミナン語で「火の山」を意味する。周辺ではここ半年、同様の災害がたびたび起きている。

昨年12月にはマラピ山が噴火し、ハイカー23人が死亡した。今年2月には土石流の発生により、タナ・ダタール県の民家数十棟が被害を受けた。

つい先月も、数日間に及んだ噴火で火山灰が上空2キロ近くまで噴き上げられ、一帯の航空路と道路が閉鎖されるとともに、住民ら1万1000人以上に避難が指示された。

(英語記事 Cold lava sweeps villages near volcano, killing 37

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