ソフトバンクGの1―3月期純利益2310億円、2四半期連続黒字 株価好調で

Miho Uranaka

[東京 13日 ロイター] - ソフトバンクグループが13日に発表した2024年1―3月期の連結最終損益(国際会計基準)は2310億円の黒字だった。23年10―12月期の9500億円から縮小したものの、2四半期連続で利益を確保した。好調な株式市況を背景に、投資先企業の企業価値が改善し、利益を押し上げた。

後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は会見で「一昨年と比較して大変順調に成長した1年だった」と評価した。24年3月期の連結最終損益は、2276億円の赤字だったが、前期の9700億円の赤字からは改善した。

傘下の英半導体設計大手アーム株の大幅な上昇や為替円安の影響で、同社が最も重要視し資産価値をはかる指標であるNAV(時価純資産)は現在26兆円程度で、過去最高水準となった。アームの株価は昨年9月の上場から現在までに約2倍に上昇した。

AI(人工知能)関連企業に投資する傘下のビジョン・ファンド(VF)の1─3月期の投資損失は575億円だった。23年10―12月期は6007億円の投資利益だった。通期としては、7243億円の黒字で、前期の5兆3000億円の赤字から大幅に改善した。

VFの累計投資損益は前四半期比でほぼ変わらず、後藤CFOは「足踏みしているが、いくつかの新規株式公開(IPO)パイプラインもあり、結果を早く出していきたい」とし、「厳しい2年を乗り越えた投資先は非常に体力がついてきており期待している」と述べた。

後藤CFOは「アームはSBGのAIシフトの中核、AIを活用する企業群が新しい生態系を作っていく」と説明。投資ポートフォリオが、アームを始めとするAI中心に変わりつつあると指摘し、同社のAIシフトを改めて強調した。

後藤CFOは、今後1年内の投資を約束した案件も含めると、過去1年間で90億ドルを投資したといい、「倍増以上の攻めのスタンスを実現した」と話す。24年度については、NAV拡大のための成長投資を最優先で行うとし、現在のLTV(保有株式価値に対する純負債の比率)の水準(24年3月末で8.4%)は「正直、低すぎる安全すぎるレベル」で、「より有効に安全性を維持しながら攻めに回していくことが重要」と語った。

孫正義社長がアームの経営に集中し、投資は「守りに徹する」として、決算説明会に出席しなくなってから1年半になる。後藤CFOは2月、守りを固めつつも「攻めに転じる」としていた。

SBGは通期の業績見通しを開示していない。IBESがまとめたアナリスト10人による25年3月期の連結純損益予想の平均値は3750億円の黒字となっている。

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