ホタルの淡い光飛び交う 竹灯籠でおもてなし、和歌山・田辺市長野

「長野ひかりの館」のそばで飛び交うホタル(和歌山県田辺市長野で)=長時間露光

 「ホタルの里」として住民が地域おこしに取り組む和歌山県田辺市長野で、ゲンジボタルが淡い光を放って飛び交っている。地域では今年から、左会津川に架かる橋や川沿いに手作りの竹灯籠約70個をつるして訪れる人を歓迎している。

 地域づくり団体「長野郷明会」(森貴之会長)でホタル部会長を務める那須勝美さん(73)によると、今年は例年より10日ほど早い4月末に最初のホタルを確認。その後、少しずつ数が増え、夜の気温が高い日には左会津川の支流を中心に飛び交う様子が見られるようになった。11日夜には、長野小学校近くにあるホタルの飼育研究施設「長野ひかりの館」周辺で、例年より多い約30匹を確認した。

 那須さんは「例年は5月最後の土曜日から6月初めぐらいにかけてピークを迎えるが、今年は例年よりも1週間ぐらいは早くなるように感じる。今の時期でこれだけ飛ぶのはこれまでなかったので、数も多いのではないか」と期待している。

 長野郷明会では毎年5月下旬に屋台販売もある「ホタル観賞会」を開いてきたが、梅の収穫時期と重なることや関係者の高齢化などを理由に、従来の形での開催は昨年で終了。それに代わる取り組みとして「訪れた人に安全に歩いてもらい、風情も出したい」と、協力して竹灯籠を作った。

 竹灯籠の中には、ろうそくの炎のように光が揺らめく小型の発光ダイオード(LED)ライトが入っており、ホタル観賞を幻想的に演出する。6月上旬まで設置する予定で、長野小の駐車場を利用して散策するよう呼びかけている。

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