円安で「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」のパフォーマンスが好調のなか、ネット証券の上位に台頭したファンドは…?

SBI証券のランキング5位は「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」

SBI証券のランキング5位は、「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」だった。同ファンドは、米国のNASDAQ市場に上場する時価総額上位100銘柄で構成され、NASDAQ100指数(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指すインデックスファンドである。

NASDAQ市場は、アップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフトなどの著名なハイテク・IT企業が多く上場しており、新興企業が割合も高いことで知られている。そして、NASDAQ100指数は、NASDAQ市場に上場している金融銘柄を除く、時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均によって算出される株価指数で、米国を代表する株価指数の一つである。NASDAQ100指数は、他の米国株式指 数と比較して、中長期的に高いパフォーマンスを記録してきた。しかし、ハイテク株中心の構成であるため、株価変動リスクが比較的高い点に注意が必要である。

楽天証券ではS&P500を対象にしたインデックスファンドが人気

楽天証券では、4月もS&P500を対象としたインデックスファンドの人気が高かった。新NISAで注目を集めているのは、指数算出会社MSCIの全世界株指数(ACWI)やS&P500など外国株の指数に連動するものである。

インデックスファンドは米国の経済学者が提唱した「効率的市場仮説」を応用したもので、独自の調査や予測では市場平均を超えるパフォーマンスを達成するのは難しいと考えている。さらに、インデックスファンドは手頃なコストで市場全体への分散投資が可能で、アクティブファンドと比較して安定的なリターンが期待できる点が魅力である。

しかし、インデックスファンドの人気に伴い、指数を構成する大型銘柄に資金が集中し、市場や価格形成への影響力が強まっている。時価総額上位のアップルやエヌビディアなど時価総額の大きい銘柄の影響を強く受けるからだ。S&P500やACWIはハイテク企業の比率が高いため、これらの銘柄の動向が指数に与える影響は大きくなる。そのため、適切な分散投資を行うためには、銘柄やセクターの分散が必要だろう。

円安でオルカンのパフォーマンスが好調

米MSCI全世界株指数は「MSCI ACWI」と呼ばれ、世界47カ国・地域の約2800社を組み入れている。インデックスファンドなどを通じて円建てで投資する場合は、円を外貨に変えて買うため、為替相場の影響を受ける。米ドルやユーロなどが円に対して上昇すると、円換算での海外資産の価値が膨らみ、運用成績が向上するのである。

MSCI全世界株指数は、世界の株式に幅広く分散投資できるメリットがあり、インデックスファンドを通じて投資することが可能である。特に三菱UFJアセットマネジメントが運用する「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」は純資産残高が3兆円を超え、新しい少額投資非課税制度(NISA)でも人気を集めている。

一方で、注意すべき点として、円高への反転や巨大ハイテク株の影響度合いの高まりが挙げられる。巨大ハイテク企業の時価総額拡大に伴い、指数を構成する上位銘柄に左右されやすくなっているからである。

さらに、円安が継続する中で、現地通貨建てよりも円建ての方が運用成績は高くなっている。円安は家計への負担増につながるが、海外投資に関してはプラスに働いているといえるだろう。

山下 耕太郎/金融ライター/証券外務員1種

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011

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