森、ありのままの跳躍 2度目の五輪へ 金沢学院大で技磨く

ネイルを披露する森選手=12日午後5時、前橋市のヤマト市民体育館前橋

  ●「全ての気持ちを楽しみたい」

 決勝の演技が終わると、力強くガッツポーズをして納得の表情を浮かべた。12日、パリ五輪のトランポリン女子日本代表に決まった森ひかる選手(24)=TOKIOインカラミ/金沢学院大クラブ=は2度目の大舞台に向け、「すごくうれしい。五輪でもやることは変わらない。常に今できることを一生懸命やって、自分の気持ちに正直に、全ての気持ちを楽しみながらやっていきたい」と意気込んだ。

  ●何度も拳突き上げ

 メダル獲得が期待された前回東京五輪では演技を中断し、予選敗退。一度は引退も考えたが現役続行を決め、試行錯誤を重ねてきた。連覇を逃した昨年11月の世界選手権後、パリ五輪へ技を磨くために森選手が選んだのは2年前に卒業した金沢学院大クラブに戻ることだった。

 再び日本体操協会女子強化本部長の丸山章子氏(金沢学院大スポーツ科学部教授)に師事し、伸び悩んでいた技の精度向上に着手。選考会では女子選手随一の高さに加え、難度の高い演技を跳びきり、全体トップのスコアを記録。演技後、何度も拳を突き上げた。

  ●「アナ雪」テーマのネイル

 毎年、衣装を新調しており、今年はディズニー映画「アナと雪の女王」をテーマに青色を基調にした。お気に入りのネイルも同じテーマで、左手薬指にはキャラクターの「エルサ」が描かれている。

 試合後の会見でネイルに質問が及ぶと、森選手は待ってましたとばかりに指先を披露。1月の金沢の雪景色と主題歌「ありのままで」の歌詞が、五輪に向かっていく心情とマッチしたといい、練習でも「ありのままで」を聞いている。

 森選手は自身のことを「完璧主義」と評し、完璧を求め、追い込みすぎることがある。パリ五輪に向けては「自分の気持ちに正直に。頑張りすぎず、頑張りたい」と述べ、目標は明言しなかった。ただ、東京五輪後にたどってきた道に後悔はない。「自分を信じています」。自然体で挑む2度目の五輪へ自信をにじませた。

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