元阪神守護神は「常軌を逸している」 無双の防御率0.49…浮かび上がったレジェンド

パドレスのロベルト・スアレス【写真:ロイター】

ソフトバンクや阪神でプレーしたパドレスのスアレスはMLBトップタイの12S

パドレスのロベルト・スアレス投手が12日(日本時間13日)、本拠地・ドジャース戦で4-0の9回に登板。1三振を奪うなど無安打無失点に抑えた。セーブはつかなかったが、ここまでメジャートップタイの12セーブをマークする右腕を米メディアが特集。前日11日(同12日)の時点でフォーシームの平均球速98.5マイル(約158.5キロ)を誇る剛腕について「常軌を逸している」など同僚の証言などを掲載した。

かつてソフトバンクや阪神でもプレーしたスアレスは、ここまで17登板で18回1/3を投げて1失点。防御率0.49を誇る。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」では「パドレスのロベルト・スアレスがなぜ、打者が嫌がる速球を量産しているか、なぜ打てないか」とのタイトルで記事を掲載している。

特集は11日(同12日)時点の数値を基にしており、昨季と比べて(速球の割合が)30%も上がり、平均球速98.5マイル(約158.5キロ)の4シームの使用率が80%超となっている。4月3日から22日(同4日から23日)にかけては8試合のスパンで、79球連続で速球を投げた。バッテリーを組むカイル・ヒガシオカ捕手は「高校でさえそんなことをする投手はいない。かなり常軌を逸している」と語った。

最近16試合での防御率は0.52。試合を締めた回数(16)、セーブ(12)、4つ以上のアウトを取ってのセーブ数(3)でチームトップ。フォーシームの被打率は.093だ。

ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「何が来るか分かっていても、打者はついていけていない。彼が試合に入ってくるときは嫌だね」と“脱帽”。スアレスは「ルーベン・ニエブラ投手コーチが私を色々な方法で解析してくれているのが助かっている。おかげで以前より思うような球を投げることができている」と語っている。

「彼の制球力に驚いた。ほとんどピンポイントだった」

ニエブラコーチは、2021シーズン後にパドレスがスアレスを契約した後、スアレスが投げながら効率的な回転についての理解を深めた、と話した。スアレスはスタットキャストの指標で、球に回転をかけた際に、それがどの程度球の動きに影響を与えているか、回転の効率性を測る「アクティブ・スピン」が、2022年は93.7%だったが、今季は95.9%にまで上げているという。

ニエブラコーチは「今、彼はボールに純粋なバックスピンをかけることができている」と分析している。レッズ時代にアロルディス・チャップマンのギネス記録球105.8マイル(約170.2キロ)を受けたヒガシオカは「チャップマンは全力で投げていたのが分かった」が、スアレスは“楽な直球”のお手本だと話した。

主にスアレスの球を受けているルイス・カンプサーノ捕手は「時に(スアレスの球は)グラブに瞬間移動するような感じ」、「その球が来ると分かっている。だが、(打者は)どこに投げてくるかが分からない」と印象を語り、ロバーツ監督は「彼のピンポイントの制球力がいい」。さらにヒガシオカは「ブルペンで最初に彼の球を受けた時、制球力に驚いた。ほとんどピンポイントだった。100マイル(約160.9キロ)以上の球を投げて平均以上の制球力があるというのはかなり特別だ」と振り返った。

5月に入ってからスアレスはフォーシームの割合が90%近くになり、この月はフォーシームで14打数無安打に抑えている。2008年にピッチ・トラッキングの時代に入って以降、500球以上を投げて90%以上がフォーシームかシンカーかカットボールだった投手は10人あまり。そのトップは史上最高のクローザーとして知られる、ヤンキースのマリアノ・リベラの98.5%で、かの有名なカットボールがそのうち87.6%を占めた

最近16シーズンで、フォーシームまたはシンカーを86.7%を超える比率で投げた投手はいない。今年のスアレスの比率は今のところ91.3%(スアレスのメジャー通算は68.3%)だという。(Full-Count編集部)

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