【異常事態】日本各地で“オーロラ”観測 太陽フレアが影響か? 最悪のシナリオを専門家が解説

夜空に美しい光のカーテンが広がる神秘的な現象…「オーロラ」。
通常は北極や南極などで主に観測されるこの現象、2024年5月11日、北海道を中心に日本各地で「低緯度オーロラ」が観測されました。

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青森県平内町では、美しい紫色の光が広がりが観測されたほか、
栃木県日光市でも、雲の隙間から鮮やかなピンク色が空に広がりました。
さらに、兵庫県・香美町では差しこむように広がる光をはじめ空に美しい光景が広がっていました。

宇宙環境研究をしているNICTの津川卓也室長は、今回の現象を「珍しい」と話します。

情報通信研究機構宇宙環境研究室 津川卓也室長:
北海道の北のほうでは数年に1回程度見られていたと思うのですが、ここまで本州の広い範囲でみられたのは、初めてではないかなと。珍しいと思います。

通常日本ではほとんど見ることができないオーロラをなぜここまで広い地域で観測することができたのか?そこには、太陽の表面上で起きる爆発「太陽フレア」が関係しているといいます。

5月8日から11日までの3日間で、規模の大きな「太陽フレア」が7回発生。
この爆発により、オーロラを発生させるプラズマ粒子が、通常より多く地球へ降り注ぎ、普段は見ることができない場所でも観測できたのです。

この現象は世界各地で発生しており、普段は観測できない、アメリカやイギリス、中国などでもオーロラが観測されたといいます。

“太陽フレア”にご用心?停電・通信障害など影響が…

世界各地で美しいオーロラを見せてくれた「太陽フレア」。しかし、良い影響ばかりではありません。

アメリカの海洋大気庁は11日、太陽フレアの影響で、電力系統やGPSなどで異常が報告されたと発表。さらに、イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業「スペースX」では、衛星インターネットに支障が出たということです。

過去にはこんな被害も…。
1989年に巨大な太陽フレアが発生した際には、地球の磁場が乱れたことにより送電線に異常な電流が流れ、停電が発生。

また、太陽フレアによる電磁波によって、無線通信に障害が出た事例もありました。

――こんなに大きな影響があるんですか?
津川卓也室長:
衛星運用、通信、GPS測位等、電力もそうですが、このような様々な社会インフラ、特に宇宙を利用したようなインフラに影響があるということで、そういった点に非常に注意が必要です。
どんどんデジタル化が進んできて、特に低軌道衛星なども近年増加しているような状況だったり、ハイテク社会になっていくと太陽フレアを含む「宇宙天気」の影響が大きくなってくると。今までの被害で、想定されていないことも起きるかもしれないと。

総務省が行った検討会では、宇宙天気現象が地球全体にもたらす「災害」に対して“最悪のシナリオが設定されています。
「2週間にわたり超巨大クラスの太陽フレアが連続発生した場合」によると…、

・スマホが2週間断続的に使えない
・防災行政無線・消防無線などが使えない
・広域で停電が発生
・カーナビなど精度低下による衝突事故の発生
・航空・船舶が運航困難に

などの影響が出てくるといいます。

――このようなことが起きた場合、どのように対応すべき?
津川卓也室長:
この最悪のシナリオは本当に100年に一度1000年に一度ぐらいの非常に大規模なものが起こった場合を想定しているものですが、例えば通信についても、ひとつの無線手段だけでなく、優先も含めて複数の通信手段を準備しておくですとか、停電に備えて準備しておく。そこは通常の災害の対策と同じようなものが必要かと思います。
ただ一方で、人体被爆等については、地上にいる限りは問題はないので、そこは過度に恐れずに正しく理解して対応していただくことが重要だと思います。

(『めざまし8』 2024年5月13日放送より)

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