水筒直撃事故が影響か? ジョコビッチがローマ3回戦で格下相手にまさかのストレート負け「完全に調子が狂った」<SMASH>

現在開催中の男子テニスツアー「イタリア国際」(5月7日~19日/イタリア・ローマ/クレー/ATP1000)は、現地12日にシングルス3回戦を実施。同大会で過去6度の優勝を誇る第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク1位)が、格下のアレハンドロ・タビロ(チリ/同32位)に2-6、3-6のストレートで敗れる波乱が起きた。

現地10日の初戦(2回戦)では、ラッキールーザー(予選敗者が繰り上がる措置)のコレンティン・ムテ(フランス/同83位)に6-1、6-3で勝利した36歳のジョコビッチ。試合後のファンサービス中に、1人の観客の水筒が自身の頭部を直撃するというアクシデントに見舞われたものの、同日に更新したSNSでは幸い大事には至らなかったことを報告。翌日には自転車用のヘルメットを被って会場に姿を現し、ファンの笑いを誘っていた。

だがタビロとの3回戦では、絶対王者らしいプレーが全くと言っていいほど見られなかった。オープニングゲームから精彩を欠き、ダブルフォールトでいきなりブレークを献上。得意のストローク戦でもタビロの強烈なフォアハンドに苦戦を強いられたジョコビッチは、第3ゲームでもサービスダウンを喫し、そのまま第1セットを落としてしまう。

第2セットに入ってもジョコビッチのプレーの質は上がらない。再び第1ゲームでブレークを許すと、以降も反撃の糸口をつかめず敗戦。わずか67分で3回戦敗退となった。
試合後の会見で「完全に調子が狂った。コート上でボールを打っていても良い感触を得ることができなかった」と簡潔に敗因を述べたテニス界のスーパースターは、気落ちした様子を見せながら「正直に言って(負けた理由が何なのか)わからない」とコメント。一方で水筒が頭部に直撃したアクシデントは少なからず影響したと明かした。

「あれは非常に不運かつ予期せぬ事故だった。頭に非常に強い衝撃を感じて、その後は吐き気や出血、めまいなど多くの問題に悩まされた。ただ頭痛があった中でもよく眠れたし、翌日は体調がだいぶ良くなったこともあって、今日は問題ないだろうと思っていた。

でもコート上では本来の自分ではなかった。リズムやバランスが欠けていた。2日前の自分とは全くの別人であるかのような感覚があったんだ。(頭部の)メディカルチェックを受けて何が起こっているのかを確認しないといけない」

最後にはタイトル防衛が懸かる今季2つ目の四大大会「全仏オープン」(5月26日~6月9日/フランス・パリ/クレー)について「少し心配だ」と不安をのぞかせたジョコビッチ。全仏開幕まで残り2週間、そこまでに彼の体調が回復することを願うばかりだ。

文●中村光佑

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