Libry、コザ高等学校と学習データを活用した観点別評価で主体的な学びの促進を実証、6月12日に関連セミナーを開催

Libryは、同社の提供するデジタル教材プラットフォーム「Libry(リブリー)」を使用し、生物の学習で得られるデータを活用した学習評価を、沖縄県立コザ高等学校で行ったことを5月7日に発表した。対象は、同校の1~3年生(226名)で、対象科目は「生物」、対象期間は2023年4月~2024年3月。

コザ高等学校(沖縄県沖縄市)では、「生物」における観点別学習状況の評価(観点別評価)3観点のうち、「知識・技能」と「主体的に学習に取り組む態度」の2観点に、「リブリー」の学習履歴データを活用している。「主体的に学習に取り組む態度」は、国立教育政策研究所の『学習評価の在り方ハンドブック』に基づいて、評価の2軸のうち一方の「自らの学習を調整しようとする側面」を、取り組んだ問題の最終的な正答率、間違えた問題を解き直した回数、1問あたりの平均演習回数でそれぞれ捉え、あらかじめ設定した評価規準をもとに数値化して、最終的な評価を決定した。

生徒には、評価規準を年度はじめに明示した上で、定期的にフィードバックや個人面談などを行っている。2023年度の2学期以降は、生徒が自身の学習進度や取り組み状況がわかる詳細なデータを確認できる機会を月に1回設け、暫定的な評価のリアルタイムでの把握を可能にした。これらのサポートによって、生徒が自身の現状や課題を認識して、何をすべきかを考えて主体的に学習に取り組むよう促している。

「リブリー」を使用し評価の対象となった生徒に、今の評価の計算方法が、自身の主体的に学ぶ態度を適切に表現できていると思うかを尋ねたところ、「とてもそう思う」(57.1%)と「そう思う」(28.3%)を合わせた割合が85.4%を占めた。また、評価方法を意識して学習に取り組んだかを尋ねた質問では、「とてもそう思う」(56.6%)と「そう思う」(22.6%)を合わせた割合が79.2%に達している。

このアンケートは、2023年度の1学期末(2023年7月)と学年末(2024年3月)に同じ質問項目で実施されている。その結果、「今の評価の計算方法が、自身の主体的に学ぶ態度を適切に表現できていると思うか」については、「とてもそう思う」と「そう思う」を合わせた割合が1学期末は63.5%だったのに対して、学年末では85.4%に上昇した。そのうち、「とてもそう思う」は1学期末が28.9%だったのに対して、学年末では57.1%と大きく増加している。

また、「評価方法を意識して学習に取り組んだか」については、「とてもそう思う」と「そう思う」を合わせた割合が1学期末は40.4%だったのに対して、学年末では79.2%に上昇した。そのうち、「とてもそう思う」は1学期末が19.3%だったのに対して、学年末では56.6%と飛躍的に増加している。

これらの結果から、主体的に学習に取り組む態度を定量的に評価することの有効性が確認された。また、ヒアリングの結果や調査期間内のスコアの変化から、定量的な評価規準の採用や、評価方法とその方法に対する教員の想いを生徒に明確に伝えること、評価規準の継続的な伝達、現在の評価の暫定値を定期的に生徒へ示すことは、生徒の主体的に学習に取り組む態度の育成に有効であると推察されている。Libryとコザ高等学校は、2024年度以降もこの取り組みを継続し、よりよい学習評価のあり方や効果的な手法を模索しつつ、改善を図るという。

なお、Libryでは、学習データの効果的な活用方法を紹介する「学習データ活用セミナー」を、6月12日の17時~18時にオンライン開催する。同セミナーでは、Libryが新たに開発・リリースした「学習データレポート」機能の具体的な使用方法を説明するほか、コザ高等学校での取り組みを紹介。ゲストとして、同校にて2023年度に主導した教員の與那嶺創氏を招き、学習データを評価に活用することの効果や有用性について考える。参加費は無料で、事前登録が必要となる。

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