森を盗む! 何万本も他人の木を勝手に切る「盗伐」が今ひどくなっている原因とは?

お笑いタレント、大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30)が5月13日に放送され、新泉社から発売中の『盗伐 林業現場からの警鐘』を著した、森林ジャーナリストの田中淳夫がゲストに出演。番組パートナーの阿佐ヶ谷姉妹とともに、本の内容について伺った。

大竹「今回ご紹介するのは『盗伐 林業現場からの警鐘』という御本ですが、「盗伐」とはどういう意味ですか?」

田中「漢字で書くと“盗んで伐る(切る)”ということで、他人の山・森を勝手に切って木材を売り飛ばす犯罪行為です。1本の木を切る盗伐もあれば、1万本10万本も切ってしまうという大きなものもあります」

大竹「昔から盗伐みたいなことはあったんですか?」

田中「盗伐自体は江戸時代にもあって、木を1本切ったら首が1つ飛ぶというほど厳しい罰則があった時代もあるんですけれども、今の盗伐は1本2本切るんじゃなくて、ごっそりと何ヘクタールも切ってしまうんですよね」

阿佐ヶ谷姉妹 江里子「どのくらいの罪になるものなんですか?」

田中「法律用語で『森林窃盗』と言うんですけど、3年以下の懲役または30万以下の罰金で、実は普通の窃盗よりはるかに軽いんですね」

江里子「えーっ?」

田中「普通、金銭を盗んだ場合でしたら5年以下の懲役ですから、森林窃盗はそれよりかなり軽くなってるわけですね」

大竹「田中さんは、盗伐がここ十数年で特にひどくなったとおっしゃってますね」

田中「これまでは高い木を1本2本、こっそり行って抜いてしまう盗伐だったわけです。これが多分2000年を越えた頃から、とにかく量で、木材は安くてもいいからたくさん切って、その分儲かるだろうというような切り方になってきたので、もう森そのものを盗むというか切ってしまうような感じになっています」

大竹「例えば、どんな被害が出ているんでしょうか」

田中「私が行った宮崎県のケースでは、外から見たら普通に森があるんですね。ところが近づくと外側の一列だけ木を残して、その裏側を全部切ってしまっている。裏に行ったら5ヘクタールぐらいあったんですけど、もうずたずたに切ってしまって、全部土の山になっていました」

大竹「目の前の木だけ整えたって奥が見えちゃうだろうに」

田中「まあ、見る気持ちがあれば見られるんですけれども、普通にそこで生活してるとか、道から見た時には緑があったら気がつかない、そんな感じですよね」

大竹「これ、でも普通の人にはできませんよね?」

田中「巨大な機械を何台も入れて、まず道を作って、そこから切るのも重機で…」

大竹「人の土地の木ですよね! 道まで作っちゃうんですか?」

江里子「じゃあ1人でできるものでもないし、たまたまっていう感じでもないですよね」

田中「ある程度技術がないとできませんからね。その機械も実は1台数千万円もするんです。それを手に入れて操縦もしなくちゃいけませんから、技術も身に着けた林業関係のプロですよね。そういう人間が他人の山を切ってしまうということですね」

大竹「でもその業者の方にも裏と表の顔があって、表だけじゃ生活が成り立たないんじゃないか、みたいなことも垣間見えますね」

田中「本来はプロですから、ちゃんと合法的にやってるんですけども、切る山がだんだんなくなってくると、1台数千万円の機械買ってしまった場合、借金を返す為にはもっと切らないといかん。でも切る山がないと、もう他人のものでも切ってしまえ、ということですよね」

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