大船渡市大船渡町の千葉勝也さん(77)は、大船渡、陸前高田両市の津波碑をまとめた記録集「気仙地区内の津波記念碑を訪ねて」を出版した。度重なる津波被害に襲われた先人の経験を後世に伝承しようと、10年かけて約100カ所を回って歩いた。悲劇を繰り返さないため、語り継ぐ必要性を訴える貴重な一冊となっている。
7章構成で、各地区の津波記念碑や建立場所、碑の文言などをカラー写真で紹介。明治(1896年)、昭和(1933年)、チリ地震(60年)、東日本大震災(2011年)の犠牲者や被害状況、碑の数を年代ごとにデータでまとめた。
碑文に残された文言が時代とともに変化していることに着目。明治は犠牲者の鎮魂を願うものが多かったが、昭和の碑文には次世代への教訓を刻んだ碑が多く「災害の風化を防止するためには持続的な努力が必要だ」と指摘した。
記録集はA4判、42ページで100部印刷。非売品で管内の教育委員会や小中学校、公民館などに配布した。