ジョージア、「外国から資金提供」団体の登録法案に反対デモ 野党はイギリスに圧力求める

東欧ジョージアで、政府が成立を目指している「外国からの影響に対する透明性法案」をめぐる対立が激化している。野党の指導者らは市民社会に対する抑圧だとして、イギリスに対し、ジョージア政府への厳しい対応を求めている。

与党「ジョージアの夢」は、国外から20%以上の出資を受けている団体やメディアを「外国勢力の利益のためにはたらく組織」として登録する法案の可決を推し進めており、数日以内の成立を目指している。

ジョージア政府は、透明性の向上とジョージアの主権を守ることにつながる法案だとしている。

しかし野党側は、10月に予定されている総選挙を前に、政府が批判の声や野党を抑圧するための法案だと非難。また、ジョージアの欧州連合(EU)加盟をくじく目的もあると指摘している。

ロシアが同様の方法で批判者を抑圧していることから、この法案は「ロシア法」とも呼ばれている。

首都トビリシでは、法案に反対する大規模なデモが行われており、数万人が参加している。

アメリカはこの法案に公然と反対している。ジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障担当)はソーシャルメディアで、アメリアかは「ジョージアでの民主主義の後退を深く懸念している」と書いた。

サリヴァン氏はまた、ジョージアの議員らは「国民の欧州・大西洋への願望か、民主主義の価値観に反するクレムリン(ロシア大統領府)流の外国人スパイ法を通すか、どちらかを選ばなければならない。(中略)我々はジョージア国民の側に立っている」とした。

これとは対照的に、イギリスは控えめに反対を表明している。

ヌスラット・ガニ欧州担当相は先週ひっそりと公表された書面での議会答弁の中で、駐ジョージア・イギリス大使が、首相や大統領との最近の会談で、「一貫してこの法案に対する懸念を表明している」と述べた。

また、自身も4月に、駐英ジョージア大使とこの件について協議したことを明らかにした。

しかしジョージアの野党議員らは、ガニ氏やデイヴィッド・キャメロン外相に対し、さらなる対応を求めている。

イギリスに要望

戦略建設者党のギオルギ・ヴァシャゼ党首は、「キャメロン卿は、2008年にジョージアがロシアに侵攻された際、ジョージアを支持した国際的重要人物の一人だった」と述べた。

「今回は外相として、選挙期間中に野党を締め付けようとする政府の試みを強調するために、同じことをしてくれるようお願いしたい」

統一国民運動のティナ・ボクチャヴァ議員は、「(英議会の)回答書は、イギリス政府がジョージアの状況をひそかに懸念していたことを示している」と話した。

「国際社会が、このような権威主義的な行動に一丸となって反対していると与党に理解させるために、私たちは今、こうした懸念を公にする必要がある」

イギリス外務省の報道官はBBCに対し、この法案について「深く懸念している」と述べた。

「法案を受けた論調や、警察のデモ参加者に対する過剰な武力行使も、深く憂慮すべきものだ」

「我々はジョージア当局に対し、平和的なデモの取り締まりを自制するよう求めている」

「イギリスは、ジョージア政府やトビリシの市民社会グループと接触を重ねている。我々の大使もジョージア政府に対し、法案に関する我々の懸念を一貫して伝えてきた。最近では、4月22日に首相と会談している」

(英語記事 Georgia opposition leaders urge UK to oppose foreign influence bill

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