護衛艦いずもをドローンで撮影した〝事件〟 近くのタワマンから飛ばされた可能性

質問する浅川義治議員

今年3月、横須賀基地に停泊する海上自衛隊の護衛艦「いずも」を上空からドローンで撮影したとみられる動画が中国のサイトに投稿され、拡散された問題で、防衛省は5月9日、実際に撮影された可能性が高いとの分析結果を公表した。そのドローンは横須賀基地を見渡せるタワーマンションから飛ばされた可能性が浮上した。

日本維新の会の浅川義治議員は13日、衆議院決算行政監視委員会第2分科会において〝事件〟として質問した。

浅川氏は、横須賀基地のドローン対処機材のメンテナンス費用が年間約100万円というのは少ないのではないかと指摘。続けて「報道によると、今回問題のドローンを操縦し、いずもを撮影したとされる中国人は逮捕を恐れて中国に帰ったという話もあります。防衛省が『(いずもは)ドローンによって撮影された』と判断するまで1か月以上かかっているのは遅すぎるのではないですか」と質問した。

木原稔防衛相は「映像を本物であると判断するのは難しいものです。さまざまな観点から総合的に分析した結果、実際に撮影された可能性が高いと発表しました」と答えた。

さらに浅川氏は「ドローンは高度を上げる時にも、下げる時にも電力を使います。もしも飛ばしたい高度と同じ高さから飛ばせたら電力をあまり使いません。そして、この横須賀基地の近くにタワーマンションがあります。専門家によりますと、今回のドローンは横須賀基地を見渡せるタワーマンションから飛ばしたのではないかという見解があります。飛ばす高さも、操縦するにもちょうどいいそうです。つまり、防衛省は神奈川県警と捜査段階に入っていたから公表まで時間がかかったのではないかと思いました」と聞いた。

防衛省の田中利則統合幕僚監部総括官は「今回の映像が本物だという前提で、ドローン法で規制しているエリアにおいてドローンの飛行がなされた可能性が高いということですので、厳正に対応していきたいと思います。個別の捜査の状況につきましては、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきます」とした。

浅川氏は「私は今回のことは事件であり、『護衛艦いずもドローン実写映像事件』と勝手に名付けています。今回のような場合は絶対に犯人を特定しなければいけないと思います」と述べた。また、ウクライナ戦争で使われたような攻撃型ドローンなどへの対応についても警告した。

その上で浅川氏は「ドローンは判別できるから、まだいいんです。判別できないもの、つまりUAP(未確認異常現象)がやって来た時にどうするか。ドローンへの探知能力の延長にUAPへの探知能力があると思うんです。何が飛んできているのか、あるいはいつ飛んでくるのか分からないものを常に把握していくという意味で、防衛省にはよりいっそう力を入れていただきたい。できればアメリカと緊密に情報交換できる専門部署を作るべきではないかと思います」と提言した。

防衛省の加野幸司防衛政策局長は「識別不能の物体の情報収集・分析を任務とする米国防省の全領域異常対策室=AAROを含めた米国政府とも緊密に連携し、継続して情報収集・分析に務めています。識別不能の物体が他国の最新兵器や偵察機であった場合の危機感という浅川委員の問題意識につきましては、完全に共有しています。現段階におきましては、専従の組織を設けるということは考えておりませんが、省内の関係機関一体となって進めていきます」と応じた。

傍聴したUFO研究家の竹本良氏は「浅川議員に対して、木原防衛大臣、加野防衛政策局長、田中統合幕僚監部総括官の応答が、前にも増して真剣であるところに驚きを隠せませんでした。加野防衛政策局長がAAROと緊密に連携していると断言していることも、すごいことです」と感想を話した。

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