MLB公式データサイトにスイングスピード指標が導入 大谷は新指標で3位に

日本時間5月13日、MLB公式データサイト『ベースボール・サーヴァント』にスイングスピードやそれを基にした新たな指標が導入された。MLBのトラッキングシステムである『スタットキャスト』で、スイングの軌道や速度を直接追跡できるようになり、そのデータが新たな指標と共にファンの間にも公開されることとなった。

今回、公開されたデータの代表例が、平均のスイングスピードを意味する「平均バットスピード」と、約120キロ(75mph)以上のスイングの割合を意味する「ファストスイング率」。これはパワーヒッターとして知られ、今季もMLB最速の打球を放ったジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)がダントツ1位を記録している。さらにスイングの始動からインパクトの瞬間までの距離(スイングの長さ)を示した「レングス」、変化球にタイミングが合わなかった際などの不完全な遅いスイングを意味する「ソード」という基準も導入された。

さらに、スイングスピードのデータなどから導き出された「スクエアアップ率」「ブラスト率」という新しい指標もある。「スクエアアップ率」とは、バットスピードと投球の球速から求められる打球速度の理論上の最大値に対して、実際の打球速度がどれほど近かったかを示す指標である。データによれば、100%のスクエアアップ率を記録するとき(=打球速度が理論上の最大値に達するとき)というのは、バットのヘッドから約15~20センチ離れた”スイートスポット”(つまりはバットの芯)に当たったときのみ。”スイートスポット”からミートポイントが離れれば離れるほど、スクエアアップ率は低くなる。つまり、スクエアアップ率の高さは、芯に当てる技術の高さとも関わりが深いと言うことができる。スイングあたりのスクエアアップ率のMLB1位は、安打製造機として知られるルイス・アラエズ(パドレス)だ。アラエズは打球速度が遅く、さらにバットスピードもMLBワーストの遅さだが、効率的にバットスピードから算出される打球速度を叩き出していることが分かる。

「ブラスト率」は、より速いスイングでどれほどスクエアアップできたか(打球速度の最大値に近づけたか)を示す指標である。スクエアアップ率は非力なアラエズが1位になっていることからも分かる通り、コンタクトヒッターにやや有利だ。しかし、軽打のスイングをして80マイルの最大値に近づくよりも、鋭いスイングをして100マイルの最大値に近づくほうが長打の可能性が高く、打球としての価値は高いことは自明だ。やはり長距離砲の大谷翔平はこのブラスト率が高く、MLB3位(コンタクトあたり、スイングあたり共に)にランクインしている。

これまでも野球のセオリーとして、打者にとってスイングスピードは重要であるということは広く認識されてきた。近年では『ドライブライン』のようなトレーニング施設において、多くの選手たちがウェアラブル端末でスイングを計測し、具体的な数値目標を持ってスイングの改善やトレーニングに取り組んでいる。今回の『ベースボール・サーヴァント』のアップデートはまさにその流れを受けたものだろう。

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