「仕事を辞めて失業手当と生活保護をもらう予定」という知人。どちらも受給できるのでしょうか?

そもそも失業手当と生活保護はどんな制度?

失業手当と生活保護の両方を同時に支給してもらえるかは、状況により異なると考えられます。双方の制度について概要を解説します。

失業手当

厚生労働省によると、失業手当(失業等給付)とは、「労働者が失業した場合及び雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、必要な給付を行うとともに、その生活および雇用の安定を図るための給付」とされています。労働する意欲や能力があるものの、現時点では復職できていない場合に支給されます。

受給には「雇用保険の被保険者期間が一定期間ある」などいくつか条件を満たさなければなりません。受給期間や受給額については、失業理由や失業時の年齢など諸要素により変わります。

生活保護

厚生労働省によると、生活保護は、「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています」と述べています。

「資産や能力を活用していること」など、こちらも一定の条件を満たすと受給できます。支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。

なお「生活保護を受けている人は働けない」と思っている人がいるかもしれませんが、労働して収入を得ることは可能です。得ている収入が、厚生労働大臣の定める「最低生活費」に満たない場合、不足分が保護費として支給されます。

失業手当と生活保護は両方支給される?

条件を満たしていれば、失業手当を受けながら生活保護を受けることは可能と考えられます。前述の通り生活保護は、最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に届かない場合に支給されます。

例えば最低生活費が月12万円の単身者世帯があり、失業保険を含め7万円を毎月得ている場合、差額の5万円を生活保護費として支給してもらえるイメージです。

生活保護費はあくまで、最低生活費の足りない部分を補う目的で支給されます。そのため、受給者の収入が十分ある場合は支給の対象外となることも考えられます。

さらにいえば、前述の通り失業保険の受給期間には上限があるため、失業手当と生活保護をずっと同時受給できるわけでもありません。

失業手当と生活保護のダブル受給は可能。しかし条件次第

離職後に失業手当をもらえる場合、生活保護を申請することも可能です。

ただし生活保護費は原則、失業手当を含む本人の収入が、国の定める「最低生活費」より低い場合にもらえるお金です。受給できるとしても、実は思っているほどの額はもらえないかもしれません。

失業手当と生活保護それぞれに満たすべき条件が設定されており、状況次第では支給されない可能性もあります。自身が受給対象かどうか詳細を知りたい場合は、自治体の該当部署に問い合わせるといいでしょう。

出典

[厚生労働省
雇用保険事務手続きの手引き](https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001127572.pdf)
生活保護制度

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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