「カメラ監視でうつ発症」社員が大塚食品提訴 ポカリ異物混入で「公益通報後に不当扱い」と主張

公益通報後に不当な扱いを受けたとして大塚食品を提訴した男性(13日午後、大津地裁)

 大塚ホールディングスの子会社「大塚食品」の滋賀工場(滋賀県湖南市)で製品管理を担当していた男性社員が13日、異物が検出されたことを公益通報した後に社内で不利益な扱いを受け、うつ病を発症したとして、同社に約220万円の損害賠償を求める訴えを大津地裁に起こした。

 訴状などによると、男性が同工場品質管理課に勤務していた2021年11月、スポーツ飲料「ポカリスエット パウダー」など粉末状の食品を入れていたポリ袋からほこりや樹脂片が検出され、非食品用の袋が使われていたことが発覚した。しかし、同社はリコールなどの措置を取らなかったことから、男性は22年、県の公益通報窓口と社内の内部通報窓口に通報した。県は同社に立ち入り調査し、行政指導を行った。

 男性は23年春に、全く畑違いの分野の社員が1人しかいない部署への異動を命じられた。監視カメラが自分の席に向けられた状態での勤務を強いられ、業務をほぼ与えられなかった。その後うつ病と診断され、約4カ月間休職したという。

 男性は内部告発者に対する不当な扱いにより精神的苦痛を被ったうえ、職場復帰する際の就労環境が発病前と変わらず孤立状態のままだったと主張。記者会見で「消費者に安全安心な商品を届けるために内部告発するしかないと判断した。会社は真しに向き合ってほしい」と話した。

 同社は「訴状を入手しておらず、内容が確認できていない」としている。

© 株式会社京都新聞社