保育園で男児(当時5歳)が行方不明に 川で見つかり死亡を確認 両親は保育園が注意義務を怠ったとして広島市に約8800万円の損害賠償を求めて提訴

2022年、広島市の保育園で園児が行方不明になり、その後、亡くなった事故で、遺族が保育園を運営する広島市に対して損害賠償を求める訴えを起こしていたことが分かりました。

この事故は2022年4月、広島市西区の市立保育園で5歳の男の子の行方が分からなくなり、その後、近くの川で見つかり、死亡が確認されたものです。

訴えによりますと、男の子の両親は、保育園が行動を把握すべき注意義務を怠ったほか、園児だけで園外に出ることができる場所が複数あったにも関わらず、施設の修繕を怠ったとして、園を運営・管理する市にあわせて約8800万円の損害賠償を求めています。

代理人の弁護士によりますと、両親はこれまで広島市と事前に交渉をしましたが、市が支払いを拒否したため提訴したということです。

事故をめぐっては、去年、有識者でつくる検証委員会が報告書をまとめ、男の子がどうやって園外に出たのかは特定できなかったとしながらも、園庭の生垣のすき間などから「園外に出ることができる環境にあった」ことなどを指摘していました。

検証委員会の報告書を受け、市は、去年から生垣だけで敷地を囲っていた10の園などに、高さ150センチ程度のフェンスの設置を順次、行っているほか、すべての市立保育園の門に防犯カメラの取りつけが完了したということです。

広島市は、園児すり抜け防止策の検討は引き続き続けるとしています。裁判の提訴について広島市こども未来局は「訴状は8日に届いたが、内容を確認して対応したい」としています。

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