「扶養」とは?
自分自身で生計を立てられない人に対して、家族や親族が経済的な援助を行うことを「扶養」といいます。配偶者や子どもなど、収入がない、もしくは収入が少ない家族や親族を自身の収入で養うことになります。
被扶養者になると、税金や社会保険料の負担が小さくなることがメリットです。
扶養には「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」の2通りの考え方があるため、それぞれ確認しておきましょう。
共働き夫婦の子どもはどちらの扶養に入るのか?
夫婦の両方が健康保険の被保険者であり、年収に大きな差がない共働き夫婦の場合、社会保険上ではその子どもは原則として、年間収入が多いほうの扶養に入ることになります。
ただし、厚生労働省によると「夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする」とされています。
今回の事例のように、夫の年収が500万円、妻の年収が480万円の場合、その差額は20万円であり、夫の収入の1割である50万円よりも小さいため、届け出を提出すれば子どもは妻の被扶養者になることが可能です。
付加給付がより充実しているなどの理由で、妻を主として生計を維持する者としたほうがいいときは、そちらを選択すべきでしょう。
ただし、夫の収入が500万円、妻の収入が430万円の場合だと、差額の70万円が夫の収入の1割よりも大きくなるため、子どもは自動的に夫の扶養に入ることになります。
「税法上の扶養」で考えた場合は?
年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)であることなどの要件を満たした場合は「税法上の扶養」に入ることができます。
税法上の扶養は社会保険上の扶養と異なっていても問題はなく、子どもがどちらの扶養に入るかを自由に決められます。子どもが2人いる場合、一人を夫の扶養家族とし、もう一人を妻の扶養家族とすることも可能のようです。
その場合は、それぞれの勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しましょう。
健康保険上は原則年収の高いほうの扶養に入る
夫婦が共働きでどちらも健康保険の被保険者である場合、その子どもは原則として年収の高いほうの扶養に入ることになります。
ただし、夫婦の年収差が少ない場合は、届け出により、主として生計を維持する者の被扶養者とすることが可能です。
また、「税法上の扶養」で考えた場合はどちらも選択でき、社会保険上の扶養と異なっていても問題ないため、慎重に検討することをおすすめします。
出典
厚生労働省 夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー