兵庫県産ノリ 生産枚数、額とも2年連続日本一 全国的な生産量低迷で単価が上昇

網を引き上げ、ノリを刈り取る収穫用の「潜り船」=2023年12月、明石市魚住町沖

 兵庫県産の養殖ノリが今季、生産枚数、額とも2年連続で日本一となることが明らかになった。枚数は昨季よりやや減ったが、2年前まで19年間トップだった佐賀県が今季も少雨の影響で不作だった。全国的な生産量の低迷で単価が上昇し、兵庫の生産額は大幅に増えた。

 ノリは全国の沿岸域で毎年秋から翌年の初夏まで養殖される。例年、その4~5割を佐賀、福岡、熊本、長崎の4県にまたがる有明海を中心に生産。兵庫は全国の約2、3割の11億~16億枚を生産している。

 兵庫県漁業協同組合連合会によると、昨年12月から今年5月までの生産量は、前季比4%減の約12億3千万枚。前半は雨が少なく品質がやや低下したが、2月中旬以降は適度な雨で質、量とも安定した。

 生産額は同17%増の約260億2千万円。業務用原料を求める商社がノリを買い進め、単価は有明海が凶作に陥る前の2021年度(21年秋~22年初夏)の倍近くまで高騰したという。

 淡路島西岸沖で今年2月、油の塊が確認され、周辺漁協の養殖ノリが廃棄に追い込まれた影響について、県漁連は「全県の生産量の約1割が減った可能性がある」としている。

 一方、佐賀県の生産量は凶作だった昨季から8%増の約9億9千万枚で、生産額は33%増の約223億1千万円。昨季よりやや上向いたが、いずれも兵庫を下回り全国2位だった。

 兵庫県水産漁港課の担当者は「全国的な生産不足は続いており、手放しで喜べない。海の栄養回復を進め、豊かな海の創出を目指したい」としている。(三宅晃貴)

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