女性の遺体が見つかった廃墟 内部にぬいぐるみやソファも…“心霊スポット”として訪れる若者たち、不安な近隣住民 行政の対応は 富山県高岡市

上半身裸の遺体が見つかった富山県高岡市の廃墟。近年はたびたび深夜に若者たちが訪れる“心霊スポット”として知られ、落書きや騒音が問題となっていました。そのうえ今回の遺体発見で、周辺の住民たちは不安を募らせています。そこはもともと何だったのか…。そして、今後どうなるのか、現場と関係者を取材しました。

5月6日午前0時半ごろ、高岡市の港町、伏木地区にある廃墟に入った20代の男性がみつけたのは…。前かがみの状態になった遺体でした。

この廃墟に入ったことがあるという人は…

廃墟に入ったことがある人:「下の木もはがれていて、床も腐って抜けてるし、ガラスの破片とかいっぱいあって、まともに歩ける状況ではなかったです。家にあるようなものは全部あります。ソファとかはあったね、椅子とか」

遺体が見つかったことについて近所の住民たちは…。

近所の男性:「散歩に行ってるときも、死体の臭いがしたら明らかにわかるじゃん。そういう臭いはしていなかったよ」

別の近所の男性:「早く壊してほしいけどね。近寄りがたいような感じやったよね」

近所に住む女性:「私服を着た警察官が来て 、『ここを変な人が通ったとか、歳いった人とおったとか不思議な事ありました?』って聞かれました」

発見された女性の遺体は…

警察が調べたところ、遺体は女性で、建物の中にあった物に座り、前かがみになっている状態でした。

身長は160センチくらい、中肉で黒髪。上半身は衣服を身に着けておらずジーンズを履いていたといいます。

死亡推定時期は3月下旬~4月上旬とみられ、目立った外傷はありませんが、損傷が激しく年齢は特定できていません。

廃墟の建物の状態は…

記者:「建物を見てみると、壁はところどころはがれていて、窓も割れています。そしてここから人が中に入ることができます」

窓ガラスが割れあちこちに落書きをされた廃墟。ベランダの柵はボロボロになっていて、長い間、放置されているようです。

記者:「建物のそばにはペットボトルが落ちています。最近捨てられたもののようです」

廃墟に集まる若者たち…

近所の女性:「若者はよくバイクで連なって通っていくのは何回もあります。音が迷惑…。夜中のことですから」

近所の住民によると、深夜、若者が集まってくるといいます。何のために廃墟に集まるのでしょうか?

廃墟について知る男性:「心霊スポットみたいで当時有名だった。ガラスとか割れてて。ソファとかもあったかな。未成年の学生とかが心霊スポットで肝試しに行くような場所」

「心霊スポット」として肝試しに来るといいます。

廃墟に入ったことがあるという男性2人: 「変なぬいぐるみがいっぱい捨てられとって。本当に「出る」って有名で」 「結構入れるんですよね。若い子たちが肝試しで、この廃墟によく来ていたんです」

現場で取材をしていると、夕方、1台の車が廃墟の前に停まり、助手席に乗っていた若い男性が廃墟に入って、すぐにまた車内に戻ってくる場面にも遭遇しました。

そして廃墟の周辺が暗闇に包まれた午後11時ごろ、若者たちが集まって来ました。

廃墟から出てきた若者たちに話を聞きました。

男性:「以前に廃墟(めぐり)として2・3回来たことあるんですけど、落書きとかがあってみんなで遊んでる感じだったんですけど、遺体があったというニュースを見て鳥肌が立ちましたね。今日(建物に)入ってみて血みたいなものがあって怖かったです」

男性3人組:「3階は人がいた形跡は結構ありました。ペットボトルだったり、いろいろ置いてありました」「布団がぐちゃぐちゃになっとるやつとかもあれば、3階にきれいな布団はあったんですけど。コップとか置いてあったりはしてますね」

富山県警は廃墟に勝手に入るのは建造物侵入の罪にあたるとしていて、記者が若者たちに告げると「もう、しません」といって去っていきました。

この廃墟、もとはどんな建物だったのか?

近所の女性:「30年ほど前かね。保養所になっとったんかね。子どもたちが来て。夏場に子どもたちがきゃあきゃあ言って、海行って泳いだり浜で遊んだりしたのは見ていました」

近所の女性によれば、企業の保養所だったといいます。

登記簿によると鉄骨4階建てで、47年前の1977年に建てられていました。所有者の関連企業に建物の管理状況について取材を依頼しましたが「取材には答えられない」とのことでした。

遺体が見つかり周辺の住民は不安を募らせています。

こうした事態に廃墟のある高岡市は…。

高岡市建築政策課担当者:「瓦が落ちてきそうであるとか、建築部材とかが落ちてきてそこを通行する方が危ないとかいうことであれば、緊急的に市の方でバリケードとかそういうものを当然今もしているところです」

この廃墟の管理状況については…。

高岡市・建築政策課の担当者:「管理不全なのかどうかということは、ちょっとお話できないです。管理不全であれば引き続き所有者には指導していきますけども、それがどういう状態かということまではちょっとごめんなさい。個人の財産なものでお話は差し控えさせていただきたいです」「私どもの課としては、管理されていない空き家に対しての、所有者の方に対して助言や指導を行っていく課ですから、当然そういう空き家があれば今まで通り指導助言ということで進めていきます」

廃墟でみつかったジーンズ姿の女性の遺体。警察は身元の確認を進めるとともに事件性があるのかどうか調べています。

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