ふっくら、さっぱり、くさみなし…完全養殖ウナギの量産化に手応え 新日本科学、都内で初の試食会

〈資料写真〉

 ニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の人工生産研究を進める新日本科学(鹿児島市)は13日、東京・上野の日本料理店で、卵から成魚まで完全養殖したウナギの試食会を開いた。同社は2026年度までに年間10万匹の稚魚生産を目指しており、「量産化まであと一歩のところまできた」と手応えを感じている。

 これまで鹿児島で2回、試食会を開き、都内では初めて。「鰻割烹(うなぎかっぽう)・伊豆栄本店」に経済関係者ら30人を招いた。たれに浸し焼き上げた蒲焼きはふっくらと油がのり、くさみがなくさっぱりとした味わいで、出席者からは「十分においしい」と驚きの声が上がった。

 調理担当者は「皮が固くダメかと思ったが、焼いて蒸したところ柔らかく変化した。小骨も少なくおいしく味わえるはず」と話した。試食した大日本水産会の枝元真徹会長=鹿児島県姶良市出身=は「あっさりしていてとても食べやすい。量産が実現すれば食卓の風景が変わるだろう」と期待した。

 新日本科学は、天然シラスウナギの漁獲量減少を受け14年に研究を開始。17年に人工シラスウナギ生産に成功し、19年には鹿児島県和泊町に沖永良部研究室を開設。海水を用いた稚魚生産研究を加速させている。

 23年は1029匹を生産、今年は1万匹を目標に掲げる。永田良一会長兼社長は「試食を通じ長所や改善点が見えた。生産に使う水槽の開発を急ぎ、1日も早く量産化にこぎ着けたい」と語った。

試食会で完全養殖ウナギのうな重を楽しむ参加者=13日、東京都台東区
完全養殖ウナギのうな重を手にする永田良一氏=13日、東京都台東区

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