空と鉄道の「二刀流」 ANA客室乗務員、秋田内陸線で兼業

内陸線阿仁合駅のホームで、列車を背に並ぶ(左から)原さん、児玉さん、廣田さん

 全日本空輸(ANA)の客室乗務員(CA)3人が兼業制度を活用し、秋田内陸縦貫鉄道(北秋田市)でも勤務することになった。3人のうち廣田華帆さん(26)=東京都出身=が13日、秋田内陸線の観光アテンダントに就任した。両社によると、廣田さんは全国的にも珍しい空路と鉄路の「二刀流アテンダント」となる。

 兼業で秋田内陸縦貫鉄道に勤めるのは、廣田さんと児玉愛さん(38)=潟上市出身、原真里奈さん(31)=神奈川県出身。3人はANAのフライト業務に従事しつつ、秋田内陸縦貫鉄道の嘱託職員として毎月8日間程度勤務する予定。児玉さんと原さんは同社総務企画課企画係に配属され、先月16日から兼業している。

 両社は昨年度、CAが乗車する企画列車の運行などで協力。昨年12月、ANA側から兼業制度を紹介された秋田内陸縦貫鉄道が、今年2月にANA社員向けのオンライン説明会を開催。兼業社員の公募に3人が応募し、いずれも面接試験を経て採用となった。

 内陸線には現在4人の観光アテンダントがおり、廣田さんで5人目。13日に市役所阿仁庁舎で辞令を受け取った廣田さんは「祖父母が青森におり、ルーツのある東北で働きたいと思った。CA経験を生かし、地元の皆さんに教えてもらい、サービスに力を入れたい」と話した。

 児玉さんは「いつか秋田で働けたらと思っていたので、兼業で実現できたのがうれしい。健康づくり事業などに関わっていきたい」と話す。2021年4月から1年間県庁に出向し、内陸線沿線を紹介するフォトエッセーを発行した原さんは「面識もあり、職場はなじみやすかった。内陸線の魅力をもっと発信し、お土産の新商品開発にも取り組んでみたい」と意欲を語る。

 秋田内陸縦貫鉄道の吉田裕幸社長は「地域の求人環境は厳しく、兼業という新しい働き方は一つの解決策になり得る。3人が活躍できるよう、会社としてもバックアップしていきたい」と話した。

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