「ここまでというのは本当にびっくり」復旧費用22億…大井川鉄道が被災地見学ツアー 観光客減少の現実も"復興に期待"=静岡県

大井川鉄道は5月11日、台風で被災した区間を歩いて見学するツアーを開きました。「被災した路線の現状を知ってほしい」。町の人は復興のきっかけになればと期待を寄せています。

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島田市と川根本町を結ぶローカル鉄道大井川鉄道です。大井川鉄道は5月11日、一般の人に「大鉄」の今を知ってもらおうと、台風被害の状況を見学する日帰りツアーを初めて開きました。

<竹上禄宏計画課長>
「みなさんおはようございます。5月13日、下泉駅から田野口駅までの3.6km、被災区間の線路の上を歩いていただきます」

大井川鉄道は2022年の台風災害の影響で本線の半分の区間で現在も運休が続いています。大井川鉄道が台風によって被害を受けた場所は31か所あり、その内24か所は復旧できていません。

<竹上禄宏計画課長>
「完全にここが詰まって、水みちが完全に変わってしまって、そこを全部えぐっていったのがこの状況です」

土砂に埋もれた線路や、土台が流され宙に浮いた線路など、参加者は被害の大きさを目の当たりにしました。

<ツアー参加者>
「ちょっとここまでというのは本当にびっくりしました。ここは結局、谷だから沢が流れて、地形の普段気付かないような所で災害が起きているんだな、というのが実感できました」

全ての復旧にかかる費用は約22億円だといいます。線路上の土砂を取り除くだけでなく、土砂崩れの再発を防ぐための根本的な工事が必要な場所もあります。

ツアーの料金は1人あたり2万8千円。この日は37人が参加しました。

<ツアー参加者>
「応援の気持ちもあって、今回のツアーも申し込みを思い切ってして、微力ながらも力になれたら」

<竹上禄宏計画課長>
「まず興味をもっていただいたということに関して、非常に嬉しく感じている。ただ単に土砂を取れば通せるという状況ではないというところを、参加していただいた人にはしっかり理解してもらえた」

参加者はその後、川根本町の千頭駅に移動し、災害の影響で取り残されている電車を見学しました。

川根本町は大井川鉄道の運休の影響で観光客が減っていますが、町の人は、今回のツアーが復興のきっかけになればと期待を寄せています。

<川根本町に住む 中原康夫さん>
「お金を出してまでツアーに参加して、現地を見たいという方がいるっていうこと自体がありがたい」

このツアーは5月18日にも行われますが、予約はすでに埋まっています。大井川鉄道は今後もファンの力を借りながら、全線開通に向けて活動を続けます。

復興に必要な22億円のうち、大井川鉄道が負担する8億円以上の財源をどう確保するかが課題になっています。ツアーの参加者は「今、動いている区間に乗ることで応援したい」と話していました。

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