今年の梅雨はどうなる?なぜ事前に予想ができるの??気になる傾向を気象予報士が解説

毎年6月から7月のはじめにかけて、約1カ月半にわたって雨や曇りの日が多くなる梅雨。
梅雨が近づいてくると、今年はどのくらい雨が降るのかな?また災害が起きるのだろうか…?と気になりますよね。

でもそもそも、週間予報よりもずっと先の梅雨の予想なんて、できるのでしょうか。
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、気になる今年2024年の梅雨の見通しを解説してもらいます。

西日本中心に「平年並みか多い」降水量

2024年梅雨の降水量予想(気象庁HPをもとに作成)

気象庁は毎年、冬の終わりに次の夏の天候がどうなりそうか、梅雨の降水量を含め予想を発表しています。それによると、今年2024年の梅雨は、西日本を中心に降水量が平年並みか多くなる見とおしです。

また、気象庁では毎月下旬に、3カ月先までの「3カ月予報」というものも発表していて、3月末の時点で4月~6月の予報も出されています。その「3カ月予報」における6月の降水量予想を見ても、やはり西日本中心に降水量が多くなると予想されているのです。

どうして先のことがわかるの?

半年先とか3カ月先の予想を言われても、なぜそんな先の未来がわかるのか不思議に感じますよね。じつは、これには「海」の温度がとても重要です。

日々の天気は、空気の温度や、空気中に含まれる水蒸気の量に左右され、それらは毎日めまぐるしく変わっていきます。一方で、海の温度は今日明日で大きく変わることはなく、何カ月もかけてゆっくり変化していきます。

そのため、何カ月も先の天気や気温のように、長期にわたって変化するものを予想するときには、海の温度を参考にして計算されるわけです。

さらには、(専門的な話にはなりますが…)日本列島にかかる梅雨前線の活動がどのくらい活発になるかは、インド洋や東南アジアなど離れた海における変化が時間差で現れることが多く、たとえば春にインド洋で起きた変化を人工衛星などで観測することで、梅雨時期の日本の雨についてあらかじめ予想を立てることもできるのです。

実際に当たるの?

じつは10年ほど前まで、1カ月先も先の予想というのはあまり当たらず、実用的ではないと言われてきました。ところが最近、予報技術の向上やスーパーコンピュータの進歩によって、かなり当たりやすくなってきたのです。

たとえば、ある年の4月の時点で、その年の6月1カ月分の降水量を計算した結果は、今では実用的な場面で参考にできるレベルになってきました。もちろん6月何日にどの街で何mmの雨が降る…というところまではわかりませんが、1カ月間合計の降水量がどの地域でどのくらい多くなるかわかるので、災害の危険度もかなりわかってくるわけです。

梅雨にそなえてまず何をする?

まずは、自分の住んでいる場所がどういうところか確認しておきましょう。というのも、大雨の災害は、「意外なところ」で起きないため。

たとえば大きな川では、あらかじめネットなどで公開されている「浸水想定区域」以外のところに洪水がおよぶことはまずありません。小さな川であればまわりよりも低いところに水は集まるので、たとえば学校や職場と自宅のどちらが標高が低いか知っているだけでどちらがより危険かわかります。

土砂災害については、やはりネットなどで公開されている「土砂災害危険箇所」の付近で過去の被害の9割ほどが発生しているので、一度でも検索したことがあればいざというときの行動が変わってくるのです。

実際に雨が降って警報や避難指示が出てから、避難所に行くか自宅にとどまるか迷っていると、判断が間に合わない場合があります。今のうちに、いざというときどうすべきか確認して、家族と話し合っておきましょう。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部

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