復興願い「泣き相撲」 石川護国神社、子ども114人が声響かせ

元気な泣き声を上げる子ども=金沢市石引4丁目の石川護国神社

 石川護国神社(金沢市石引4丁目)の第6回奉納泣き相撲(北國新聞社後援)は12日、同神社で行われ、北陸三県から集まった6カ月から2歳までの子ども114人が境内に元気な泣き声を響かせた。相撲の四股には大地を踏み固めて鎮める意味があるとされ、来場者は能登半島地震からの復興と子どもの健やかな成長を祈った。

 東西に分かれた子どもは赤と青の法被と鉢巻きを身に着け、親に抱っこされて「土俵入り」。名前をもじったしこ名で呼び出され、相手や行司とにらめっこして泣き声を競った。

 元テレビ金沢アナウンサーの塚田誉さんらが行司役を務め、対戦前から泣きじゃくる子に「泣きっぱなし」、相手の声に驚いて泣き出す子に「つられ泣き」など、ユーモアたっぷりに「決まり手」を告げた。親の思いとは裏腹に泣かずに、ほほ笑む子もおり、客席は笑い声に包まれた。

 涌波4丁目の田賀成美さん(31)は10カ月の次女結葉(ゆいは)ちゃんを抱いて参加した。娘の大きな泣き声に「すくすくと健康に育ってほしい」と願った。

  ●前宮司の思い継ぐ

 同神社は戊辰戦争以降の戦没者4万4929柱をまつる。泣き相撲は10日に亡くなった高井良直前宮司が、若い世代に神社に親しみ、平和の尊さを体感してもらおうと2018年に始めた。4月に就任した葛城健一郎宮司(70)は今後も継続開催する意向で、「ふるさとの家族を思い、戦地で亡くなった英霊もきっと喜んでいる」と目を細めた。

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