武者姿にアニメ、ゲームのキャラクター… 仮装ランナーが爽やかな汗 群馬・安中市で安政遠足侍マラソン

思い思いの服装で旧安中藩武家長屋前をスタート

 群馬県内外から集まったランナーが安中市を走り抜ける第50回安政遠足侍マラソン大会(安政遠足保存会、市主催)が12日、市内を発着点に開かれた。故事にならった武者姿をはじめ、映画やアニメ、ゲームの人気キャラクターに扮(ふん)したランナーらが、かつて中山道の宿場町として栄えた地域に残る歴史の面影や新緑の碓氷路を満喫しながら、思い思いのペースでゴールを目指した。

 1476人が出走した。午前8時、岩井均市長が太鼓をたたいて号砲。ランナーが続々と旧安中藩武家長屋前をスタートした。出場者は、くつろぎの郷を目指す「関所・坂本宿コース」(20.15キロ)と、第50回の節目を記念して新設された松井田支所をゴールとする「松井田宿コース」(11.95キロ)で爽やかな汗を流した。

 コース途中やフィニッシュ地点の所々で勇壮な和太鼓演奏が繰り広げられた。安中原市の杉並木では、国内有数の太鼓イベントへの参加実績を誇る安中総合学園高和太鼓部がランナーの士気を盛り上げた。沿道の観戦者からは大きな声援が送られた。ランナーは手を振って応え、快走していた。

臨時列車がランナーと並走も

 関所・坂本宿コースの一部区間、国道18号沿いでは、蒸気・電気機関車の臨時列車「あんなか侍マラソン号」がランナーと並走する場面も見られた。安政遠足をイメージしたヘッドマークを付けた列車が汽笛を鳴らして出場者を元気づけ、車内の乗客が手旗を振ってエールを送った。

 昨年に設置400周年を迎えた碓氷関所がコース上にあり、ランナーは歴史に思いをはせながら、門をくぐり抜けた。碓氷峠の関所文化を広く発信する「碓氷関所まつり」が5年ぶりに侍マラソンと同時開催され、地元の保存会が獅子舞や和太鼓を次々と披露。ゴールまでもう少しとなったランナーを鼓舞した。

 ゲストとして高崎市出身の落語家、林家つる子さんのほか、SUBARU(スバル)やヤマダ電機所属の本県を代表する陸上選手、ザスパ群馬の関係者、市観光大使らが記念大会に華を添えた。

 大会は、江戸時代に安中藩主の板倉勝明が心身の鍛錬のため安中城から長野県境の熊野神社まで藩士を走らせた故事に由来する。「仮装して走るマラソン」と知られ、半世紀の歴史を経て、「見ても楽しめるマラソン」として定着している。

上毛かるたに身を包んだランナーら
関所・坂本宿コースのゴール
ランナーの士気を高める安中総合学園高和太鼓部
松井田宿コースのゴール

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