水原一平被告〝ギャンブル依存症〟治療の厳しい道のり 専門家は「最初の2年はつらい」

水原一平被告

依存症対策議員連盟(会長・中谷元衆院議員)が13日、都内で勉強会(スポーツベット対策)を行った。そこで話題となったのが、自らギャンブル依存症だと告白したというドジャース大谷翔平選手の元通訳だった水原一平被告だ。法的責任を問われるのと並行して、今後は治療も必要になってくるだろう。いったいどのように進めていくべきなのか。ギャンブル依存症に詳しい専門家に聞いた。

水原被告は大谷の口座から約1700万ドル(約26億円)を不正送金した銀行詐欺罪と虚偽の納税申告をした罪について問われている。現地時間14日に出廷する。量刑は最長禁錮33年ともささやかれていたが、司法取引によって禁錮7年から9年になりそうだという。

水原被告の今後については日本への強制送還など、さまざまな臆測が取り沙汰されているが、米国の刑務所で過ごす可能性もある。

「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は「ロスの刑務所に行ったことがありますが、アルコールや薬物についての自助グループが刑務所内にあり、毎日のように自助グループのミーティングが行われていました。依存症問題に関しては米国の刑務所の方が日本より理解があります」と指摘した。

刑務所で治療プログラムを受けて、無期懲役だった人物が外部の回復施設のスタッフになったケースもあったという。

「日本の刑務所に入っても依存症治療には役に立たない。日本は刑罰として懲らしめようというスタンス。依存症教育もアルコールと薬物しかなくギャンブルはほとんど行われていない。日本の刑務所は教育という面では機能していないのです」(同)

米国の刑務所で治療プログラムを受けたとしても即回復とはならない。自身もかつてギャンブル依存症だった田中氏は「2年でやっといろんな『やりたい』という衝動が収まる感じ。つらいですよ、最初の2年は」と自らの体験を踏まえ、治療には時間がかかると話した。

「ドーパミンの機能不全なので(ギャンブルを)やってないと落ち込んじゃうんですよ。ギャンブル以外ではドーパミンが出ずどんどん気分が落ち込んでいくから、とてもつらい。5年たてば生き方自体が楽になります。私はそうでした」(同)

水原被告を巡っては米国でテレビドラマ化の構想が浮上している。田中氏はドラマ化を楽しみにしつつ、注文もあるという。「ギャンブル依存症の人たちは今現在、水原さんのことをわがことのように感じている。その人たちが希望を持てるように、回復している道のりをドラマ化してほしい。すぐには無理でも〝vol.2〟みたいに続編で」(同)

まずは最初の2年が肝心だ。

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