【西武】ドラ1武内夏暉の底知れない大物感 5戦連続QSだけじゃない〝ハートの強さ〟

西武・武内夏暉

西武のドラフト1位・武内夏暉投手(22=国学院大)が底知れぬ大物感を漂わせている。

11日の楽天戦(ベルーナ)では7回7安打1失点と粘りの投球を披露し、2―1の勝利に貢献。自身3勝目を挙げた新人左腕はデビューから5試合に登板して5戦連続クオリティー・スタート(QS=6回以上を自責点3以内)、うち4試合でハイクオリティー・スタート(HQS=7回以上を自責点2以内)をマークするなど防御率も1・50(13日現在でリーグ5位)と高いポテンシャルを示している。

特筆すべきはチーム打率2割1分3厘、同88得点(いずれも13日現在でリーグ最下位)と打線の援護が見込めぬ中、勝った3試合は2得点、1得点、2得点と限られた援護点の中で自身が7回無失点、8回無失点、7回1失点と状況および展開を見ながらリードした状況でマウンドを降りていることだ。

3勝目を挙げた楽天戦では3回以降は毎回の5度、得点圏に走者を背負いながら失点は6回、辰己の適時打による1点のみ。ピンチでの心理状態について武内は「焦っても、自分のペースが乱れるだけなので。そこはもうペースが乱れないように自分を持って(投げている)」と語っており、そのハートの強さは実に堂々としたものだ。ここまでは置かれた状況の中でチームが勝つための最善の投球をしている。

3月のオープン戦から武内の球を受け続けているベテラン・炭谷銀仁朗捕手(36)は開幕直前の時点で「ちょっとすんなり行き過ぎているのが怖い。いい投手だというのは分かったので、こうなったらダメ。悪い時はどうなるのかを早めに知りたいし、本人にとってもそれが分かってシーズンに入った方がいい場合もある」と不安視していた。特に目立った課題もなく、順調に来すぎている武内の〝課題のなさ〟を逆に心配していたのだ。

しかし、その懸念は登板5試合を終えた現時点で杞憂なのか。武内の〝底〟がどこにあるのか今も見えていない。直近の楽天戦のように、悪くても冷静に試合を作ってしまえるとしたら、とてつもないポテンシャルを秘めた大物新人といえる。

新人王どころが、11月のプレミア12に侍ジャパンの一員として招集される先発左腕候補の1番手という立ち位置も見えてきそうだ。

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