情報通信設備工事大手3社/24年3月期、旺盛な需要背景に全社が受注増

情報通信設備工事大手3社(エクシオグループ、コムシスホールディングス〈HD〉、ミライト・ワン)の2024年3月期決算が13日に出そろった。各通信キャリアが設備投資を抑制し、コロナ禍に伴う光回線需要も一巡し縮小した一方、各社とも大規模データセンター(DC)など都市インフラ整備や通信インフラ設備の維持更新工事が堅調に推移し、売上高を押し上げている。旺盛な建設需要を反映し、全社が受注高を伸ばした。今後も収益性を重視した受注活動などに力を入れる。
売上高は2社が増収。コムシスHDは大型システム構築工事や都市開発関連工事の獲得により増収となった。ミライト・ワンは23年12月の国際航業の子会社化が寄与した。エクシオグループは微減したものの、好調な国内のDCや電気設備工事にリソースを投入して過去最高水準を維持した。
本業のもうけを示す営業利益は2社が増益。エクシオグループはグローバル事業の減益を堅調な国内事業がカバーし増益。コムシスHDは生産性向上策に加え、不採算プロジェクトを受けた前期の反動増となった。ミライト・ワンは大型案件を獲得した前期の反動などで減益となった。
業績の先行指標となる受注高は全社が増加している。エクシオグループは大規模DCや新築ビル・工場などの都市インフラ事業の受注が好調で過去最高を更新した。コムシスHDは通信インフラ分野で工事量が減少したが、社会インフラ分野で大手ゼネコンとのJVによる大規模DCの獲得などで受注高を伸ばした。ミライト・ワンは西武建設との共同営業が功を奏した。
25年3月期は全社とも増収営業増益を見込む。主要な通信キャリア事業者の設備投資の影響があるものの、米大手クラウド事業者が大型投資を表明するなどDC建設が一層活発になる見通し。社会インフラの整備・改修などへの公共投資も底堅いとみられ、各社は通信インフラ事業の人的余力を成長事業に振り向け需要の取り込みを狙う。

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