なにわ男子、KAMIGATA BOYZで発揮される“トンチキ”の才能 面白さにも全力な7人のギャップ

4月29日に突然発表された新ユニット、KAMIGATA BOYZ。情報解禁直後から大きな話題を呼んだこのプロジェクトは、SUPER EIGHTとWEST.、なにわ男子の関西ジュニア出身の3グループで構成され、5月3日には「無責任でええじゃないかLOVE」が配信された。先行公開されたオフィシャルティザー「THIS IS "KAMIGATA BOYZ"」がスタイリッシュなコンセプトだっただけに、後日公開となった昭和コメディとコテコテの関西ノリが凝縮されたような楽曲とMVに、SNSでは驚きの声が上がっていた。

今回の楽曲は、いわゆる「トンチキソング」ともいえるだろう。一見ふざけているようで意味もよくわからない、でも一度聴くとなぜか頭から離れなくなってしまう不思議な力を持っている。その中で特に注目を集めているのが、なにわ男子の存在と言えるだろう。王道キラキラアイドルのイメージが強い彼らもグループに負けじと関西魂を発揮。インパクトのある姿を見せている。

今回は、「無責任でええじゃないかLOVE」のMVで遺憾なく発揮されているなにわ男子の意外なトンチキ力をみていきたい。

■俳優・道枝駿佑の演技がトンチキの真面目要素を引き立てる

「無責任でええじゃないかLOVE」は、道枝駿佑(なにわ男子)と小瀧望(WEST.)による〈愛してるよ〉〈そばにいてよ〉〈もっと好きになっても〉というロマンチックなセリフで始まる。MVでは80年代トレンディドラマの役者を模した出立ちで向き合い、まっすぐな視線をお互いに送り合っている。中盤には小瀧が歯に青のりをつけているというボケシーンが差し込まれるが、そんな小瀧に向けた道枝の表情も、恋愛ドラマのヒロイン役を見つめているような穏やかなものだ。

デビュー前から多数の舞台やドラマへの出演経験を持ち、5月3日には藤井道人監督・脚本の日台合同作品『青春18×2 君へと続く道』が上演され、俳優業での評価も高めている道枝。トンチキソングには欠かせない“よくわからないことをいたって真面目にやる”点において、道枝と同様に多くのドラマや舞台に出演し、俳優としての経験も豊富な小瀧と道枝の演技が後に続くコミカルな本編とのギャップをうまく演出している。

■パワフルなコントパートに感じるなにわのド根性

Aメロ部分のシーンは、おじいさん役の横山裕(SUPER EIGHT)率いるお茶の間コントが舞台となる。このシーンで、それぞれカラフルなポロシャツとエプロンに身を包む少年少女に扮して、西畑大吾と大橋和也(ともになにわ男子)が登場。直前までエッジボイスを利かせた横山と桐山照史(WEST.)のパワフルな歌声とギターサウンドが奏でられるが、西畑・大橋の歌唱パートでは一転ほんわかとした可愛らしいメロディに。

5月9日には『DREAM IsLAND 2020→2025』のX(旧Twitter)アカウントで撮影裏の動画も公開。頑固一徹に怒号を飛ばす横山を落ち着かせようとする中間淳太(WEST.)と西畑に、夢中になって煎餅を頬張る村上信五(SUPER EIGHT)、桐山に投げ飛ばされる大橋と、まさにカオスな状態。時には身体を張り、暴れ回る先輩たちにも食らいついていく姿に、なにわのド根性を感じるビハインドだ。

■なにわ男子らしいキラキラアイドル感もプラス

道枝のトレンディドラマパート同様、お笑いへの振りとして、大西流星(なにわ男子)パートの〈僕らはキラキラなアイドルじゃん?〉から始まる「クイズナーニー」のコーナーでも、なにわ男子のメンバーが大きな役割を担っている。大倉忠義(SUPER EIGHT)とともにスーツ姿でノリノリで歌う藤原丈一郎(なにわ男子)、肘をつきウィンクをして愛嬌を振りまく大西を筆頭に、濱田崇裕(WEST.)を囲む高橋恭平(なにわ男子)の後輩力満載な〈ホンマですか いただきますー〉のセリフに、たこ焼きを頬張ってぴょんぴょんと跳ねながら熱がる長尾謙杜(なにわ男子)の仕草。全体を通してコミカルな印象の強い「無責任でええじゃないかLOVE」にフレッシュな可愛らしさをプラスし、なにわ男子の本来の持ち味を活かして楽曲の表情をさらに豊かにするポイントになっている。

■バラエティ番組でも活躍する「ガヤ力」も垣間見える

MV中盤には、突然村上が審査員を務める一発ギャグ選手権が始まる。トップバッターはSUPER EIGHTのギャガー・丸山隆平が務め、続いて藤原と大橋が渾身の一発ギャグをそれぞれ惜しげもなく披露。配信されている楽曲とMVでそれぞれ異なるギャグを披露しているのも見どころだ。キレのいい動きと迷いのない勢いのある声で、割り振られた2小節の間で爪痕を残していく様は前後の丸山と濱田にも退けを取らない。そして怒涛のギャグラッシュを経た後、「可愛いから」という理不尽な理由で試合に参加してもいない大西が優勝を勝ち取るというオチ付きだ。

バラエティ番組に出演しても、雛壇から声を張ったり立ち上がったり、さながら“ガヤ芸人”のように番組を盛り上げているなにわ男子メンバーの姿がよく見られる。関西によって培われたお笑いの遺伝子がよく表れているシーンといえるだろう。

■キラキラも笑いも、ものにできるなにわ男子の強み

王道アイドルのパブリックイメージが定着しているなにわ男子だが、今回の「無責任でええじゃないかLOVE」への参加によって、多彩な才能が今まで以上に認知されることにつながったように感じる。実は、デビュー以降も2ndシングル『The Answer / サチアレ』収録の「なにわの男子やねん!」や1stアルバム『1st Love』収録の「妄想っちゅーDiscooooooo!!」などの“トンチキソング”を発表しており、意外にも関西らしい魅力も兼ね備えているのがなにわ男子だ。この新ユニットの始動が、王道アイドル路線だけでなく、面白さにも全力ななにわ男子の魅力がより多くの人に届くきっかけになるかもしれない。

(文=神田佳恵)

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