宮城県/名蓋川河川災害復旧(大崎市、加美町)着工、26年3月完成めざす

2022年7月の大雨で被災した1級河川・鳴瀬川水系名蓋川の災害復旧工事(宮城県大崎市、加美町)が12日にスタートした。同水系多田川との合流点を基点に上流側4・1キロの区間で、災害復旧助成事業による河道拡幅や堤防かさ上げなどを施工。同規模災害でも流下できるよう機能強化し、再度災害を防止する。同日に大崎市の旧高倉小学校体育館で着工式を開き、村井嘉浩宮城県知事や地元自治体の首長ら関係者、山本巧東北地方整備局長ら来賓の約60人が出席した。
名蓋川流域は2年前の大雨で260ミリの記録的な総雨量を観測(大崎市古川気象観測所)。堤防の決壊や越水で広範囲の家屋や農地が浸水した。過去7年で3度の水害に遭うなど災害が多発している。原型復旧では効果が限定されることから、築堤盛り土工、護岸工、橋梁架け替えなど付帯工などで粘り強く決壊しにくい堤防を構築する。総事業費は約50億円。事業用地の取得や農業施設の付け替えなどが完了している。
災害復旧事業は3工区に分割し、下流側から「名蓋川河川災害復旧工事(その1)」(古川矢目大下ほか)と「同(その2)」(古川矢目川橋ほか)を小野田建設(加美町)、「同(その3)」(加美町下狼塚平田ほか)は丸本組(石巻市)が施工する。工期はそれぞれ26年3月27日まで。県が債務負担行為を設定する。
冒頭、村井知事は「名蓋川は度々被災しており抜本的な対策が必要だった。地域住民の皆さんが安心して暮らせるよう一日も早い完成を目指す」と決意を述べた。来賓の西澤賢太郎水管理・国土保全局防災課長は「本事業で地域の安全が格段に向上する。関係者と連携しながら、国土交通省として事業が着実に進むようしっかりと支援していく」と表明した。
伊藤康志大崎市長は「復興のモデル事業として、一体感を持って取り組んでいただけるような熱い思いを感じている」と期待を寄せた。地域の安全・安心を高め「夢を持って笑顔で暮らせるまちづくりにまい進する」と強調。石山敬貴加美町長は「災害復旧事業の着工は地元の“悲願”だ。流域で農業従事者などが安心して収穫期を迎えられるような堤防にしてほしい」と述べた。
式典では関係者らが盛り土への鍬入れで工事の安全を祈願=写真。その後、宮城県の長谷川清人北部土木事務所長の発声で第1工区のバックホウが稼働し、会場には丁張りに盛り土する現地映像が流れた。

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