名前は名字のみ、試験運用 八戸市の一部、職員からは好評

所属と名字のみの表記に変更した名札=8日、八戸市庁

 職員の個人情報を守る観点から名札のフルネーム表記を見直す自治体が増えていることを受け、八戸市職員の一部でも、名字だけの表記とする動きが出始めている。本年度からの試行的な取り組みで、職員からは好評だ。全庁的な導入のめどは立っていないが、職員の要望や市民の反応などをみて検討する構えだ。

 同市ではこれまで、名札に所属とフルネームを表記していたが、本年度から部署単位で希望すれば、所属と名字のみの表記とすることが可能となった。

 現在のところ、表記を改めたのは、商工労働まちづくり部の商工課と産業労政課の2課。大志民諭部長は「特にトラブルがあったわけではないが、他の自治体で職員の名前を住民が交流サイト(SNS)で検索して特定したりネットに書き込んだりする事例もあった。職員の不安が減るなら良いのでは」と導入を決めた。女性職員の1人は「名字だけでも業務に影響はなく、安心感がある」と歓迎する。

 変更に慎重な部署もある。住民対応の多いある部署の課長は「フルネームで困っていることはないし、誰が対応しているか分かった方が市民にとって良い」との見解を示す。一方で、部署内で名字表記の要望を尋ねたことはないといい、今後把握に努めるとした。

 市人事課は「積極的に名字表記を勧めているわけではないが、個人情報に配慮する時代の流れもあり、希望には応えたい」との立場で、今後の検討課題としている。

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