【夏場所】貴景勝3場所連続の休場 師匠・常盤山親方は悲痛「手術をすれば最低でも1年かかる」

初日に平戸海(右)に押し出された貴景勝

ここから復活できるのか。大相撲夏場所2日目(13日、東京・両国国技館)、横綱照ノ富士(32=伊勢ヶ浜)と大関貴景勝(27=常盤山)がダブル休場。初日の横綱大関全敗に続き、連日の異常事態となった。特に深刻なのが、慢性的な首痛を抱える貴景勝だ。休場は3場所連続で、来場所は9度目のカド番。再び大関陥落危機に直面する中、師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)が悲壮な胸の内を明かした。

まさかの同時リタイアだ。照ノ富士は「左肋軟骨損傷、右変形性膝関節症で3週間の安静加療を要する見込み」、貴景勝は「頸椎椎間板ヘルニアで3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を日本相撲協会に提出して休場。大関以上2人が同日に不戦敗となるのは8例目で、2日目は初めて。初日の1横綱4大関総崩れに続いて、記録的な異常事態となった。

照ノ富士は場所直前に左脇腹痛を発症したことが、休場の直接的な要因。師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)は「痛すぎて力が出ない。場所前に急に痛めて、治っていなかった。ぶっつけ本番には無理がある。名古屋場所は万全の状態で出られるように調整する」と説明した。一方で、ケガの〝深刻度〟という点では大関のほうが上かもしれない。

貴景勝の頭からぶつかる押し相撲において、慢性的な首痛は致命傷となるからだ。師匠の常盤山親方は「本人もつらいですよね。専門家ではないので詳しくは分からないが、手術をすれば最低でも(復帰までに)1年はかかってしまう。逆に、相撲が取れなくなる。私も経験があるが、首は本当に治りにくい。なかなか痛みが取れないし、痛みに慣れることもない」と厳しい現状を明かす。

その上で「本人の気力? あります。精神的には強いものを持っていると思うし、ここから何とか持ち直して貴景勝の相撲が取れるようになれば…。本人も『次の名古屋場所には出ます』と言っているので。優勝に絡むような相撲が取れるようになってほしい。本人も、そのためにやっている」と弟子の復帰にかける思いを代弁した。

貴景勝の優勝4回は、大関以下の現役力士では最多を誇る。これまで何度も苦難を乗り越えてきた男は、再び復活する姿を見せることができるのか。相次ぐ波乱で番付の権威が大きく揺らぐ中、和製大関が正念場を迎えた格好だ。

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