伐採スギに巣、オオコノハズクのひな3羽救う 富山県の砺波市民とねいの里協力、「引っ越し」成功

巣箱で順調に育つ3羽のひな(5月12日撮影)

 富山県砺波市内の屋敷林に営巣していたオオコノハズクのひな3羽の危機を、家主の男性(68)と県自然博物園ねいの里(富山市婦中町吉住)が協力して救った。4日に巣があったスギを伐採してしまった男性から相談を受けた同館職員が、許可を得て家屋に巣箱を設置。ひなは「引っ越し先」で順調に育っており、男性は「自然の中で元気に生きてほしい」と思いやった。

 オオコノハズクはフクロウの仲間で、県のレッドデータブックで「準絶滅危惧種」に指定されている。相談を受けた同館野生鳥獣共生管理員の見浦沙耶子さんはオオコノハズクのデータが少ないことを挙げ「巣箱の設置は『ダメ元』の挑戦だった」と振り返る。

 巣があった場所から約20メートル離れた瓦屋根の軒下に巣箱を設置。親鳥に居場所が伝わるように、録音したひなの鳴き声を流し続けた。

 約1週間後の10日、男性からひなが生きているとの報告を受けて見浦さんが訪れると、ねずみの死骸があることなどから親が育雛(いくすう)していることを確認。巣箱の中と入り口にカメラを設置し、観察を続けている。

 見浦さんは「家主らの温かい気持ちと、親鳥のひなを思う気持ちが尊い命をつないでくれた」と語った。

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