「こんな作品にも出てる!」影響力ありすぎ『セーラームーン』の「すごいパロディ集」

アニメ『美少女戦士セーラームーン』DVD第1巻より

1992年にアニメ放送が開始され、社会現象にまでなった『美少女戦士セーラームーン』。2014年7月からは原作漫画により忠実に、キャラクターデザインやストーリーを新たに製作された『美少女戦士セーラームーンCrystal』が配信・放送された。平成初期当時に少女だった大人の女性ばかりでなく、新世代のファンを獲得している。

セーラー戦士たちのビジュアルイメージはインパクトが大きく、その後もさまざまな作品でパロディネタが作られることに。今回は、意外なアニメ・漫画でも描かれた『セーラームーン』のパロディネタの数々を振り返っていきたい。

■月光刑事&美茄子刑事にセーラームフーン

知名度が高いのは、秋本治さんの漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。同作には警視庁の超エリートチーム・特殊刑事課が登場するが、その誰もが変人揃い。その中でもひときわ目を引く強烈な見た目をしているのが月光刑事と美茄子(びーなす)刑事だ。月光刑事のコードネーム(アニメでは本名とされている)は聖羅無々(せいらむん)。元ネタはもちろんセーラームーンとセーラーヴィーナスだ。

2人とも見た目は仮面をした恰幅のいい中年男性だが、そのコスチュームはセーラームーンそのままで、アニメでの登場BGMはセーラームーンの変身時のBGMにそっくり。変身シーン(実際に着替えているだけだが)もある。かなり衝撃的な見た目なので、一度見たら忘れられないだろう。

人気アニメ『クレヨンしんちゃん』とは、お互いのキャラがそれぞれパロディとして作品に登場するという交流があった。

1994年8月に放送された『クレヨンしんちゃん』の「アクション仮面に再会だゾ」には、『美少女軍団セーラームフーンH』として、セーラームフーン、セーラーイヤーン、セーラーバカーンが登場。

カラーリングとセーラー服のニュアンスは違うものの、どう見てもセーラームーンそっくりだ。また声優はそれぞれ『セーラームーン』本家でちびうさ、セーラーマーキュリー、セーラージュピターを演じている荒木香衣さん、久川綾さん、篠原恵美さんの3人が担当するという豪華さだった。

反対に、『セーラームーンS』の1994年8月に放送された「友達を求めて! ちびムーンの活躍」では、野原しんのすけそっくりの言動をする美少年とみさえっぽい母親が登場。もちろんこちらも声優は本家と同じ矢島晶子さんと、ならはしみきさんだった。

この回では、ちびうさがしんのすけそっくりなぬいぐるみキーホルダーを拾う。その持ち主の美少年はちびうさをナンパし、最終的に「ナウマンぞうさん」を披露して母親にゲンコツされて退場するという流れだ。

唐突なゲストの登場に驚いた人は多いはず。『セーラームーン』の世界観に似つかわしくない“お下品ネタ”だったが、今となっては貴重すぎるコラボといえるだろう。

このほかにも2011年放送の少女向けアニメ『プリティーリズム・オーロラドリーム』では、「マジカルみおん」というシリーズで、セーラームーンの決めポーズが用いられたり、ピンチの時にタキシード仮面ならぬ「モーニング仮面」が登場することもあった。視聴者の年齢層的に元ネタがわかるかは定かではないが、親世代にはうれしい小ネタだ。

また様々な作品をパロディしているアニメ『ケロロ軍曹』では、冥王星がテーマの回に、登場人物のアンゴル・モアがセーラープルートにふんした姿でしれっと登場。セーラープルートは冥王星を司るキャラなので、芸の細かさについ笑ってしまう。

■三石琴乃出演アニメでたびたび行われるパロディ

『セーラームーン』パロディはまだまだある。特に、月野うさぎを演じる声優の三石琴乃さんが出演した作品は、彼女が演じるキャラがセーラームーンを思わせるポーズや行動をとることが多い。

1991年放送開始のアニメ『ゲンジ通信あげだま』では、三石さんが声を担当したヒロインの平家いぶきが登場するが、彼女がワンダー(スーパー)いぶきへと変身するシーンがセーラームーンの変身シーンと酷似している。

これは声優が同じというだけでなく、脚本の富田祐弘さんが『セーラームーン』の初期の脚本を担当していたことも大きいだろう。体をプリズムのような光が包みながら回転する様子も、ティアラの装着も、何もかもが本家そのままだった。

1999年放送のアニメ『へっぽこ実験アニメーション エクセル・サーガ』17話でも、三石さんが声を担当したエクセルというキャラが、月を背負ってセーラームーンにそっくりな登場をするシーンがあった。敵のツッコミに対して「数年前までこのネタでブイブイ言わせてたのに」ともらすシーンが視聴者の笑いを誘った。

これほどまでに『セーラームーン』がパロディされるということは、それほど知名度と人気が高いということの裏返しだろう。衣装やポーズを見るだけで瞬時に元ネタがわかる作品はそうそうない。改めて作品の持つ力を感じる。

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