2040年「老後資金4,000万円不足」となる日本の未来に悲鳴!16年後に65歳になる「月収40万円・49歳サラリーマン」の衝撃の年金額

ニュース番組に端を発した「老後資金4,000万円不足問題」。「えっ、老後資金って2,000万円の不足じゃなかったの?」と誰もが思っていたところに、将来、その倍近くも老後資金が足りなくなるというシミュレーションにSNSは大混乱。あくまでも想定であるものの、現実を知れば知るほど、やはり明るい未来は描けそうもないことが確実になってきます。

物価上昇!老後資金は「4,000万円不足」する時代へ

――老後2,000万円? いやいや、4,000万円必要になりますよ

そんなニュースが話題を呼んでいます。これは5年ほど前に話題になった「老後資金2,000万円不足問題」を例に、仮に3.5%の物価上昇が続いたらどうなるかをシミュレーションしたもの。結果、10年後には老後資金の目標は2,821万円となり、さらに10年後には4,000万円になりますよ、というものでした。

そもそも「老後資金が2,000万円不足しますよ」の元凶となったのは、総務省から公表されている家計調査。そこでモデルとなった「無職の65歳以上の高齢者夫婦」における1ヵ月の消費支出は23万3,256円。それに対して、税金や社会保険料などを除いた可処分所得は18万0,717円で、毎月5万2,539円が不足。老後が30年続くとなると、夫婦で1,821万4,040円≒2,000万円が必要になるという計算です。

これが2017年の家計調査によるもの。ほかの年も同条件の不足額をみていくと、2017年より前は毎月の赤字額は5万円台だったのが、2017年を境に減少。またコロナ禍には給付金もあったり、外出自粛により消費額が減少したりなどの要因から、不足額5万円を大きく下回ることに。

【高齢者世帯の1ヵ月の黒字額】

2014年:▲5万6,828円

2015年:▲5万7,559円

2016年:▲5万1,400円

2017年:▲5万2,539円

2018年:▲3万9,242円

2019年:▲3万0,314円

2020年:394円

2021年:▲1万8,730円

2022年:▲2万1,788円

2023年:▲3万8,120円

2021年基準であれば、「老後資金674万円≒700万円不足問題」になりますし、2023年基準であれば、「老後資金1,372万円≒1,500不足問題」になるでしょうか。どちらにせよ、大切なのは収入が限られる老後は収入と支出のバランスを取れる家計をいかに構築するか、ということ。そのためには、自身の家計をしっかりと把握することが第一歩です。

2040年に65歳を迎える「1975年生まれ49歳のサラリーマン」年金受取額を考えてみると

とはいえ、やっぱり明るい見通しが立たないのがいまの日本。2040年に65歳を迎える、2024年49歳になるサラリーマンを例に考えてみましょう。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、月収は40.6万円、年収で670.9万円。仮に20歳から60歳まで正社員として、そして60歳定年後は嘱託社員として再雇用されて働く……そんな未来だった場合、65歳から受け取る老齢厚生年金は139.1万円。1ヵ月あたり、11.6万円です。併給の老齢基礎年金と合わせると、18.4万円になります。

あくまでも現在の基準ですが、年金の手取り額は15.6~16.5万円となります。そして高齢者1人の1ヵ月の支出は14万~15万円と言われているので、現状であれば、「年金だけで暮らしていける」という状況になります。

これは65歳まで厚生年金に加入しているという条件のもとに年金を算出した結果。現在、サラリーマンの7割が定年後も働いているという状況から鑑みると、「ザ・平均のサラリーマンであれば年金だけで暮らせる」という老後を描くことができ、さらにいま議論されているように、国民年金保険料の納付が65歳までとなれば、その分も年金額は増えそうです。

――なんだ、年金だけで暮らせるバラ色の老後じゃん!

そう喜びの声をあげた人もいるかもしれませんが、前回の財政検証の結果、2040年代には年金の支給水準は2割減が確実とされました。つまり額面で18.4万円→14.7万円になるということ。そこから税金やら社会保険料やら天引きされたら……毎月の家計は赤字に転落します。また今年は財政検証の日。さらに年金の目減りがいわれる可能性は十分にあります。

さらに冒頭のように毎月3.5%の物価上昇分だけ支出も増えるとなると、2040年、高齢者1人あたりの家計支出は20万円程度に。結局は「大幅に老後資金が足りない!」という未来は確実だといえるでしょう。

あくまでもこれらは政府から公表されている統計に基づくシミュレーションであり、年金額も現行に基づいて算出したもの。これから15年ほどあとには大きく制度も変わっている可能性もありますし、経済だって私たちが考えているほど悪くないかもしれません。ただ楽観視するには不安材料が多すぎる現状、最悪を想定して防衛するしか方法はないのです。

[参考資料]

総務省『家計調査』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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