シクラメン・肉だんご 様々な逆境越え再び輝く「帝京魂」 家族、球友、先輩からの刺激を推進力に!

 シクラメンの(左から)肉だんご、電球、DEppa

 3月に独立を発表した3人組ポップグループ・シクラメンのメインボーカル・肉だんご(38)が、「帝京魂」での復活を誓った。帝京高野球部出身で、高校時代に挫折を経験しながら最後の夏はベンチ入り。音楽の世界でもメジャーデビュー曲「僕の宝物」が映画の主題歌に起用されるなど栄光を味わいながらコロナ禍などの逆風を受け、今は輝きを取り戻す道を歩んでいる。

 バットをマイクに持ち替えた肉だんごは、帝京野球部で培った精神力と人間関係が今の原動力となっている。「最終的には横浜アリーナとか武道館でのライブだけど、まずは一番良かったところに戻ることが目標」と、復活へ意欲を示した。

 中学時代にセレクションを受け、帝京に捕手として入学。だが、視力低下で練習から外れ、部室の掃除など雑用の毎日に心が荒れた。

 「自暴自棄になって野球を辞めると言って、家で大暴れしたことがあった。家を飛び出したときに兄が追いかけてきて『おまえもつらいかもしれないけど、両親がおまえの姿を見ているのが一番つらいんじゃないの』と言ってくれた。それで野球を辞めなかった」

 シクラメンのリーダーでもある兄・DEppaの一言で野球を続けることができた。3年の夏は甲子園出場こそかなわなかったが、背番号12でベンチ入り。ただ「目標はプロ野球選手だったけど、次元が違うと気付いた」と、高校で野球に区切りを付けた。

 目標を失った肉だんごに影響を与えたのも兄だった。2008年にシクラメンを結成し、11年には「僕の宝物」でメジャーデビュー。映画『DOG×POLICE 純白の絆』の主題歌にも起用され、ライブハウスやホールで全国を回り一定の支持を得ていた。

 そんな上昇機運はコロナで一変した。ライブはほとんど中止となり、大打撃を受けた。収束後も一度離れたファンがなかなか戻ってこない現実もある。苦境の中で3月には独立を発表。復活途上のグループで「僕が窓口になっている」と営業や経理を担当する。

 6月2日に群馬・前橋市で少年時代から野球を通じて友情を育んできた親友・翔司が所属し、今年3月にメジャーデビューした2人組歌謡グループ「風輪」とツーマンコンサートを開催。「刺激にもなるし楽しみ」と学生時代は野球、今は音楽で刺激する友との“競演”を楽しみにする。

 また、昨年2月に咽頭がんを公表した帝京野球部の先輩グループでもあるONE☆DRAFTのボーカルLANCEの復帰も刺激に。昨年12月にイベントで共演し歌を聴き「シクラメンの3人とも大号泣したんです」。4月に単独ライブを開催した先輩たちの存在も推進力となっている。

 終始笑顔だった肉だんごが真顔になった。帝京野球部の3年間を振り返ったときだ。「なまけ癖がある自分だけど、帝京での苦しい時って今も残っている。努力すれば試合で結果が出る。今はまだ努力を続けてるという最中。もうちょい自分にできることあるんじゃないかって歌に関しては模索中」。バットを振り続けたときと同じように「帝京魂」で歌い込んでいる。

 ◆シクラメン リーダー・DEppa(41)、メインボーカル・肉だんご、トラックメーカー・電球(41)の3人組ポップグループ。3人とも東京都出身。2008年に結成し、11年に「僕の宝物」でメジャーデビュー。聴けば聴くほど味が出るスルメサウンドを売りにする。JリーグやBリーグなどスポーツチームの応援ソングも歌う。

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