家の思い出、花に込めて 井上工業(山形)が新サービス・解体時の廃木材、加工し贈る

「MOKUKA」を手に、解体する住宅の木材を思い出として贈る取り組みについて語る井上洋輔専務=寒河江市・井上工業寒河江支店

 解体業の井上工業(山形市、佐々木勝則社長)は、県内製材業者と連携し、住宅解体時に出る廃木材を活用して記念品を顧客にプレゼントするサービスを始めた。解体住宅の大黒柱などを木製の花に加工して贈り、思い出を物として残してもらう。解体業務に付加価値を加えて独自色を打ち出し、企業イメージ向上にもつなげたい考えだ。

 連携相手は相原木材(同市)で、同社が制作するウッドフラワーの「MOKUKA(もくか)」を贈る。MOKUKAは通常、県産広葉樹などの木材をシート状に削り出して手作業で花の形を作っていく。廃木材は樹種や状態によって加工が難しいこともあるが、花のほかに台座部分などにも使用する。

 井上工業の井上洋輔専務(36)と相原木材の相原吉郎社長(40)が親交があった縁で、両社のコラボレーションが実現した。井上専務は6、7年前から親しい客に個人として贈り、昨年に会社の取り組みとした。費用は自社で負担し、解体工事完了後にサプライズで贈る。建物の所有者が変更された場合などは対象にならないため、件数は多くないが、年10~20件程度のペースという。

 井上専務は「建物をなくすのが解体の仕事だが、何か物を残せないかと考えていた」と話す。廃木材の活用は、チップ化してバイオマス発電などにリサイクルするのが主で、MOKUKAに使用するのはごく一部というが、「お客さんが喜んでくれるのがうれしい」という。使用した木材の写真を付けるなど、よりストーリーが伝わる工夫も計画している。

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