パズル(5月14日)

 難攻不落。立方体の六面パズル「ルービックキューブ」は半世紀前、ハンガリーの発明家エルノー・ルービック氏の考案で誕生した。攻略しようと手に取ってはみたものの、挫折した苦い思い出をお持ちの方も少なくないだろう。ちなみに、ギネス世界最速記録は昨年6月に樹立された3秒13▼日本では1980(昭和55)年に発売され、最初の年だけで400万個を売り上げた。人気は根強い。新型コロナ禍による巣ごもりでブームが再燃した。ネットには「6面完成攻略法」を指南するサイトが現れ、今や3世代で挑戦する家庭も多いとか▼感染法上の5類移行から1年。「緊急事態宣言」「行動制限」の言葉は今や昔の感も。パンデミックの影は薄れつつあるものの、本紙アンケートでは県内の7割に当たる43市町村が今なお「影響が残る」と答えていた。観光客の回復は鈍く、商工業も苦戦が続く。感染後の後遺症に悩む人もいるという。歴史に刻まれる疫病の爪痕は深い▼流行は落ち着きを見せているが、専門家は新たな感染症に備えるよう警告する。人類は新型コロナの教訓を生かせるだろうか。変異自在の難解なパズルを解く最短時間は、秒速とはいくまいが…。<2024.5・14>

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