これで「下痢」には悩まない(1)お腹の“性格”だから気にしないのが一番の対策

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通勤電車の中で急にお腹の具合が悪くなり、慌てて降りてトイレに駆け込んだ……そんな経験はないだろうか。現在、日本では多くの人が「慢性的な下痢」に悩んでいる。原因はなんなのか、そして治すためにはどうすればいいのか。日本消化器病学会専門医で「東長崎駅前内科クリニック」(東京・豊島区)の吉良文孝院長に聞いた。

「感染性腸炎などの急性下痢症や特殊な慢性的な下痢を起こす病気を除いた場合の話になりますが、お腹を動かすホルモンとそうでないホルモンがあって、通常はバランスを取って正常な便通になっています。しかし、そのバランスが崩れるとお腹を下してしまう、というのが今回のような下痢です。そのトリガーは緊張だったり、飲食物だったり、いろいろな要因があるのですが、お腹の“性格”として、お腹を動かす方にアクセルがベタ踏みになってしまう人がいるのです」

トリガーとなる飲食物は、油もの、乳製品、小麦類、大豆、ニンニク、キノコ、フルーツなど、人によってさまざまだ。酒、たばこ、カフェインは万人のお腹が動くという。また、お腹の“性格”である以上、基本的には下痢を引き起こすそのトリガーを変えることはできない。

さらに厄介なのは、下痢の「記憶」が残ってしまうことだ。たとえば大切な商談やプレゼンの前に下痢になると、多くの人が次回以降も「また下痢になったらどうしよう……」と考え、下痢を引き起こしてしまう。それが何回も繰り返されるうちに、条件反射のようになってしまうのだ。改善するためにはどうすればいいのだろうか。

「気持ちの問題なので、気にしないのが一番です。お腹にそういう反応が出やすい方というのは一定数いるのですが、言ってみれば、暑がり、寒がりみたいなものなんです。同じ気温でも人によって暑いと感じる人も寒いと感じる人もいますよね。そういう感覚だと思ってもらえばいいでしょう」

そう聞くと気が楽になるという人もいるだろう。とはいえ、突然の下痢はやっぱり困る。次回は、具体的な対処法を紹介する。 (つづく)

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